至高数学天を目指し戦った全ての数学者たちの累々とした屍。
本作を読んだときのイメージはそうだった。
そしてその屍のなかに私もいるのだ。
誇りのない人間は誇るという言葉を使わない。
至高数学天を志したことを全ての数学者は誇っていいと思う。
化学を極めれば物理になるという。
物理を極めれば数学になるという。
数学を極めれば哲学になるという。
では哲学とはそもそも存在するのか。
至高数学天への道を、数学の神様だけは「ある」という。
それがそもそも「ある」といえるのか、それと同じように。
「ない」ことを証明するには背理法だ。
至高数学天への道があると仮定する。
私たちはその矛盾を探し、見つけられなかった、
誇り高い数学者たちだ。