第10話 弟

 いつの間にか一人称が俺から私に変わっていた。体に引っ張られた結果だろうか。一年がたった。六歳だ。弟が生まれた。クリスという。大事な跡取りが生まれて私もほっとした。


「クリスちゃん可愛いわね~」

「父さん似だな」

「クリスか、良い名じゃな!」

「私にも抱かせて~」


 アイリ様がいる。お産婆さんなのかな?おもちゃを無限収納から出す。


 

 また戦争が近づいているらしい。またバルが行ってしまう。


「パパ頑張ってね」

「また昇爵狙って活躍するからねー、行ってきます!」

「行ってらっしゃい」


 ウルザがクリスにおっぱいをあげている。微笑ましい光景だ。


「カタリナも飲む?」

「えー私はもういい!」


 やることがない。私もどこかいきたいけど反対されるだろうなぁ。やることがないので無限収納からお菓子を出して食う。


「私にも頂戴ね」

「ママ、やることがなくて暇!」

「そうね、そろそろ家庭教師でも雇おうかしら」


 家庭教師?勉強で暇をつぶすのか。



「マリア・フォン・ベルトラです。今日からよろしくお願いします」

「マリア先生、よろしくお願いします!」


 まず文字を書けるようになりたい。マリア先生は住み込みだ。暇がある限り授業がある。私は順調に文字を覚えていくのであった。

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