漫画家・ロボット先生

書けども書けども、筆を滑らせるも、月刊誌の漫画家は思い悩む。

彼は書籍化に成功した絵描き。

しかし伸び悩みに冷や汗をかき、頭を抱える。


そんな時、漫画家は出会った。


関東一の『漫画教室』だ。


漫画家、思えば自力で上り詰めて来たものの、誰かに技術を指南された事は無い。

ここまで才能でやって来れたが、そろそろ限界も近い。

ならば通ってみるのも有りだろう。

彼はその日の内に申し込み、翌日から生徒となるのだった。




翌日。


生徒の漫画家は先生方から教えられる。

基本的な事

デッサンの事

コマ割りの事

キャラデザインの事。

解説は論理的で覚えやすく、指導は熱心で分かりやすい。


漫画家は教えを瞬く間に吸収し、着実に技術を磨いてた。

今まで気づかなかった漫画の法則。

己の感だけではどうにもならない面白さのルール。

彼は漫画の仕組みを理論として覚え、一つの成長を成し遂げた。




だが、漫画の売れ行きは伸びて行かず。

むしろ右肩下がりに落ちていく。


彼はあの指導で成長した物描き。

しかし読者は離れて行き、頭を抱える。


振り出しどころか逆戻りだ…。


漫画家、自らの作品を見つめ直す。

教えられた基礎は守ってる。

教えられた描き方も守ってる。

教えられた魅力も保っている。

教えられた通りなのに何故…………?




…何故?




…どうして?







分からない。







もはやそれはスランプでは無く、迷走だった。

書けども書けども、筆は迷い続け


月刊誌の漫画家は










唐突だが、ここからは読者の感想だ。

率直で拙い、棘のある感想文だ。

曰く、最初は面白かったが段々と面白くなくなった。

曰く、あの独創性が気に入っていたのにソレがなくなった。

曰く、量産品の様になってしまった。

曰く、彼は







ロボット先生だ。






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