私達は今日生贄になる

ナナマル

第1話恋に落ちた2人

昭和二十年、七月九日、私は、森の中で迷ってしまった。歩いても歩いても、いっこうに出口が見つからない。すると、ある小さな村にたどり着いた。私は、その村の村長に話をして、1週間ほど村長の家に泊まらせてもらった。「お邪魔します」と私が家に入ると、階段から手まりが落ちてきた。手まりが落ちてきた方を見ると、一人の女性が立っていた。私が挨拶をしようとすると、彼女は無言で階段を登って行った。私が彼女を追いかけて階段を登っていくと、ひとつの小さい部屋を見つけた。その部屋に入ると彼女が寂しそうに窓を眺めていた。私は勇気を振り絞り「これは、あなたの手まりですか?」と声をかけた。そしたら彼女は、つぶやくような声で「ありがとうございます。あなたのお名前はなんですか」といった。「私は東濃慎之介です。」と私は名前を返した。また彼女はつぶやくように「私は,杉崎静華です。自身の名を名乗るのはこれが初めてです。」と言った。私は疑問を抱いた。彼女は「私はこの家から出たことがないのです。」と悲しそうに言った。私は「なぜ家から出たことがないのですか。」と思わず聞いてしまった。すると「私は、生贄になるのです。生贄に感情などは、必要じゃないから父がこの家に閉じこめたのです。」と言い彼女は、下を向いてしまった。それから二日ほど経過した私は村長や村の人が居ないぐらいの時間に、静華をこっそり外に連れ出していた。彼女の顔はとっても嬉しそうだった。自然と私も嬉しくなって、それからは毎日一緒に外に出ていた。でも数日経ったある日、彼女が改まって、私にこう言ってきた。「慎之介様、私は病にでもなってしまったのかも知れません慎之介様が遠くへ言ってしまうと考えると胸が苦しく縛り付けられてる感覚なのです。何故かずっと一緒にいたいと思ってしまうのです。」私は、「多分それは、静華さんは恋、をしてしまっと思います。」と言った。静華は驚いた顔をして、「じゃあ私は、慎之介様に恋をしてしまったのですね」と言った。私は聞こえるか聞こえないかぐらいの声で「はい」と答えた。

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