Memories Off the Story of Noel

高橋結衣

第0話 2人の記念日


Memories Off the Story of Noel 〜冒険の海へ〜



「ciao!」


ゴンドリエが道行く観光客へ挨拶する。


それに対して、明るく返事をする人もいれば、恥ずかしそうに目を背ける人もいる。


海外の人は日本人よりも陽気で〜などとよく話を聞くが、実際は人それぞれのようだ。


「ふふっ 累さんも手を振ってみてみたらどうですか? ほら」


笑顔で手を振るノエル…


累はノエルの明るい雰囲気を見て、彼女も変わったな、と考えていた。


いや、正しくは昔の明るい彼女に戻ったと言うべきか。


「…さん、累さん? どうかしましたか?」


気がついたらノエルが顔を覗き込んでいた。


「いや、凄いところだと思ってさ。 こんなところに来るの初めてだから。ここまでだとは思ってなかった」


累の考えを読んだのか、頷きながら応える。


「…凄いですね。人も景色も。 でも嬉しかったです。 累さんから誘ってくれるなんて、考えていませんでしたから」


「なっ…それは俺が甲斐性なしみたいだべ」


「ふふっ、冗談です。 冗談ってやっぱり楽しいですね。 でも本当にありがとうございます。 累さんとこうして一緒にいられることが嬉しいですから」


12/25、そう今日は累とノエルにとって特別な日。


2人が交際を始めて一年目の記念日だ。


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