第363話 無限列車、若干のネタバレ

 昨日『鬼滅の刃』劇場版「無限列車編」のDVDを買ってきた。

 なるほど、これは泣く。

 三児の母になった妹が、「観るべき」というだけある。

 ジャンプは女性観が良く出ているので参考になる。

 煉獄さんが強かったのは、強く生まれただけではなく、父母の愛にも恵まれていたことが大きい。

 幼くして母を失った、でも。

 そう、でもなのだ。

 煉獄は泣かない。

 常に後続をいたわり、励まし、力づけて、そしてその生き方そのものに死んでいく。

 彼を強くしたのは心。

 母に愛されたという記憶。

 産んでくれた母への感謝だ。

 あんなに強いのに、母親が褒めてくれたという幻に瞳を潤ませた。

 強いからこそ、甘えを許されず、重責に耐え、自分より弱い者を守らねばならなかった。

 それはそうするべく、母に教えられたからなのだ。

 だから、アカザのように「死なない体、老いない体、何百年でも鍛錬できる」ということに魅力を感じないし、人間の死を受け入れてきた煉獄だからこそ「それもはかない人間という生き物の美しさだ」とするのだろう。

 ここは煉獄の死生観。

 死の間際に現れた、母の面影は彼を認める。

 そこで初めて、煉獄は心から満ち足りた笑顔になるのだ。

 ここが印象的だった。

 主人公たちが泣き叫び、騒ぐんだけれども。

 それだけ凄惨なやられ方をしたのに、笑って死んでいった煉獄は……強い。

 強さとは、心の美しいことをさすのだろうと思った。






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