第339話 R.F.さまへ

 子供の育て方について一家言おありのようですね。わたくしの父は赤ん坊のわたくしをおぶい紐で負って、休日干し物をしていました。

 あなたはそういうことをなさらなかったんでしょう。

 子供にとっていい関係を築ける相手ではなかったとお見受けしましたよ。

 あなたのお育ちになった時代は、男尊女卑ですよね。

 家父長制度も家制度もまだあった。

 民主主義が成る前だった。

 そのあなたとわたくしの時代が食い違うのは当然だと思います。

 子供にろくな教育もせず、教育費も養育費も出さない、育児は母親まかせ。

 そんなR.F.像がわたくしの中にあります。

 ですがそれで立派に育つこともあるでしょうし、その方がいい子供もいます。

 それは子供の精神的自立と発達段階に合わせた、適切な態度をとり、子供の人格を認めたうえでのことならばわかります。

 しかし、あなたは子供の個性になど注意を払わず、子供とはこうだ、と十把ひとからげにしているきらいがあります。

 今は幼稚園の先生は大学で「過保護はいい」ことだと教えているところがありますし、イクメンはかっこいいと思います。

 子供が反抗期を迎えて、親にはむかったり立ち向かおうとするのは正常な反応だとされていますし、

 あなたのお子さんがそうでないというのならば、

 あなたには反抗する価値もない、どうしようもない親だとみなされているんだと思いますよ。

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