第337話 ところで過去虐待に遭っていた事実
しつけと称して、よく冬の寒空だったり真夜中だったりに玄関の外へ追い出されて鍵を閉められました。
父が「追い出すぞ! いち、にい、出ろっ」って言って、言うことを聞かないからだと言います。
そんな父に逆らうこともしなかった幼女時代。
もうね、誰に何をされようと「あーれー、ご無体な!」ってことにはならないんです。
受け入れるか、やり返すか、二つに一つなわけです。
その他の選択などないのです。
この意味、わかりますか?
相手が自分より強ければ、耐えるしかないという現実。
そして親は子よりも強いです。
しかし……大人になって思うんです。
よぼよぼしてきた親の頭を見て、ちゃちだなあ、と。
暴言で子供を傷つけねば自尊心を保てない、かわいそうな父、と。
だから、あきらめますよ。
わたくしに父親はいなかったんだ、と。
わたくしをはぐくみ、護ってくれる存在などいなかった、その事実を受け入れます。
父は単語でしゃべりますから、会話のほとんどが??? ってことになりますが、聞き返すとものすごく嫌そうに「わかるだろう、俺が言ってるんだ!」と言います。
わからないから、聞いているんですよ? あなたの脳みその具合を診せてくれませんか。
多分、あれは自分の言っていることがおかしいのに、気づいてませんね。
気づいていて言っているのならば、カンバセーション能力が皆無だということです。
コミュ力低い。
せめて偏差値73にわかるように話してくださいませんか? わたくしは努力したんです。
あなたもしたらどお?
しかし文章上とはいえ、そんなことが言えるくらいに人格が鍛えられたのも、父が与えてくれた苦痛のおかげです。
人は苦しみに遭うと記憶力がUPするそうです。
(勉強前にはイタ気持ちいいくらいの運動が有効らしいですよ)
ところで、昨年のゆあんさま企画『葉桜の君に:筆致は物語を超えるか』にて、虐待にあってる少女をヒロインにして出したら、「虐待にあってる本人にそんなこというのか?」的な指摘を受けましたが、現実はそうですよ? わたくし言われましたもの。
「虐待に遭って生きてきました」と言ったらライ病患者の手記を手渡されて。
「おまえはライ病じゃないんだろ? 五体満足なんだろ? 監禁されてるわけじゃないだろ?」と、言われてる気がしました。
あとね、母。
彼女も言いましたね、わたくしがつらかったことを話すと「おばあちゃんは、子供の時にお母さんを亡くしてね」と。
あれ? なんかおかしいなあとは思いました。
問題がすり替えられている。
「今、悩んでいる」と言うと、「そうそう、こういうことをTVでやっててね」と。
世間話にされてしまう。
そういう話術でもって接してくるのが、教員だった母なわけですよ。
大学時代には友人関係ですごく悩みました。
女の子はみんなきゃぴきゃぴしてて「ごめんねぇ! 私ったらサラリーマンと結婚するからぁ!」とか言ってるの。
サラリーマンの男性なんて、ろくなもんじゃないのに、と父を思い出してました。
あと、目上への敬語が厳しくて。
なぜかって言うと、ため口がきけなかったんですね。
わたくしは年上を見ると敬語を使ってしまう、慇懃な体質で。
四つ年上の女の子に敬語を使っていたら「あんたは普通じゃないから嫌い! あたしは普通の子と友達になりたいの!」「病気の人みたい」って言われて傷つきましたね。
それ以来、年上にもため口交じりに話すように気を付けてます。
大工には大工の言葉がある、という言葉もありますしね。
敬語を使っていれば敵を作らないかというと、全然別なんです。
普通でいることは案外むずかしく、馬鹿を演ずるにはちょっと生真面目で、落ち込むと死ぬほど無力感にさいなまれるという、真性のピュアっ子でした。
理想と現実のすり合わせが、今も難しい。
わたくしの現実ってひどいですね。
夢と希望に満ち溢れた作品作りには不要な経験でした。
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