第281話 観測者

 偉そうなことを言う気はないけれど、作者って起こった物事をつぶさにとらえて記録するようなお仕事だ。

 少しの見逃しも、作品全体の質にかかわってくる。

 わたくしには今、創るという感覚がない。


 ひたすら読み応えのある文章を構築しようとしたり、キャラクターの心情をいれこんでみたり、想像の上に想像を重ねて、厚みを出そうとしている。

 実はそれはプロット段階ですませておくべきこと。

 しかしわたくしは、プロットをあたためすぎてしまったから、その粗さに気づけてしまった。


 面目ない。

 新たな要素をつけ加えないと、読めたものではなくなっている。

 スマホが贅沢品だったころのプロットだからというのもあるが、すごく不思議系のSFだから……お察しあれ。


 ジャンルは児童文学だが、ちょっと問題がある。

 背景が遠い昔の歴史を(それとはわからないように)重ねてあるのだ。

 歴史に疎いわたくしでも、身近にあった問題だから、つまり私小説に生かすべきネタを無理やりエンターテイメントに作り変えるような、そんな不安定さがある。


 しかし、不安定なのは作品であって、わたくしの中身はそれなりに成長してきているから、今不安定を書くのには、正直ぴんと来ない。

 過去に好きだった音楽などを聴いて、世界観を出せたらいいなとは思っている。






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