第123話 都合のいい人だなっ!

 祖母が昨夜、また「お風呂のお湯が出んとたい」と甘えてくる。



「また、ダイヤルがカランかシャワーかに合わせてないんでしょ」



 と、言ったが、いっちょん聞きよらん。



「お湯の出んとたい」



 と繰り返す。


 わたくしの猫が、無邪気にリビングに遊びに来ると、やれイスに乗った、おりろおりろとイスをがたがたいわせる人が。

 なんで、3年半もうちにいるのに、いまだにお風呂の水道ごときで、わたくしを頼るのか。

 わたくしは、彼女が、水浸しになって水道を直しているわたくしを見て笑っていたのを、ちゃんと憶えているのだ。


 というわけで、



「おばあちゃん、それはダイヤルを合わせないと」



 というにとどめる。

 そして、帰宅した母が対応に出て、



「おばあちゃん、ダイヤルを合わせないと……」



 と説明するが、それはもう、わたくしがした。

 祖母はいっちょん、聞きよらんもん。

 だけん、諦めた。


 94歳、祖母は一人でシャワーができない人である。

 わたくしと母がフォローに回っている限り、一生憶えてはくれないんだろうな。

 甘えればいいと思っているのだから。


 誰にも迷惑かけてない、わたくしのにゃんこに謝れ!

 いつもいつも、上から手を振って、子猫をおびえさせて。

 毎日自分で毛づくろいしている、わたくしのにゃんこに、謝れ!






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