第72話 スコちゃんに負けた……。

 あーだめ、やっぱり。

 お風呂に入って、部屋へ行くと、スコちゃんがベッドの上でお腹をつけてこちらをうかがっている。

 わたくしを見つけるや、鳴いて起き上がって、足元へ寄ってくる。


 わたくし実は、洗った髪の毛は扇風機でかわかす。

 風の強さを最大にして、ベッドを背に、扇風機の前に座ると、涼しい風が、わたくしの湿った髪の毛をゆらす。

 それをスコちゃんが、目ざとく狙ってきて、ちょいちょいとじゃれるから、くすぐったい。


 しかも、わたくしの真後ろから脚を出してくるから、その姿は見えず、ひたすらじゃれつかれてしまう。

 あと、ベッドに寄りかかって、床にすわると、どういうわけか、その背とベッドの隙間をくぐりたがるからますますおかしい。

 子猫は遊びの天才だ。


 しかし、一度は距離を置こうとしたわたくしを、それでも見上げて顔色をうかがってくる。

 赤ちゃんだし、お母さんが恋しいのかなと思う。

 こうなったら、わたくしがお母さんになってあげる!






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