第39話 お人形趣味になんかなるもんかって思った

 のは、学生の頃。

 だめだわ。

 お人形さんより整った顔の人間はいない。

 プロポーションを維持するモデルはない。


 わたくしはWEBサイトで落書を……イラストとしてUPしているんだけれど、どうも、自分の目(と耳)が左右で違うせいか、デッサンがとれない! のです。

 デッサン人形は持っているけれど、関節がよくわからない。


 イラストなんて漫画絵なんだから、ディフォルメしちゃえばいいって思わない?

 むかーしみたアニメの影響がもろに出てきちゃうから。

 もとから自分の絵なんて描けない。

 みんなアニメから学んだのよ、というわたくし。


 BOOK OFFでフィギュアなんか見ながら、陰影など勉強(勉強よっ)してたら、大き目サイズのモデル人形を見つけた。

 ところがこれが大した値段で。

 それに、家から結構遠い場所なのでいちいち母に車を出してもらわなきゃいけない。

 → お金を用意する。母の都合のいい日をみてから出向く。

 これをしてたら、ああ心配していたとおり!

 一週間も経ってないのに、売れちゃってた! 高い人形!!

 がくーっときてね。


 でもまあ。

 予想できた事態ではあったし、あんなにきれいなモデル人形、人気があるに違いないんだからと自分に言い聞かせた。

 それに、ネットで見つかるかもしれないし。


 と、思ってみたけれど、アマゾンで見られるモデル人形はもう手もとにあるし。

 ん、ちょっとまって、画像がないのがあるわねー。

 と。思ってみたらアダルトな画面に移動した。


 んまあ、肉体美。

 けど、顔がないのね。

 ふむ、アートな素体にするのね。


 わたくし念のために母に聞いた。

「母、私がアダルトな人形買ったら怒る?」

「怒るわよ!」

 ……説得が必要か。


 わたくしは集められた画像を見せた。

 母は、

「服ならリカちゃん人形のを着せときゃいいんじゃないの? 手作りするとか」

 いや、これ豊満タイプだし。

 リカちゃん胸ないし。

 言っても母は、

「四角い布に穴をあけてポンチョにして、胴体に巻き付けて紐でぐるぐる縛っておけばいい」

 と、なんか誤解。

 さらには水着をつくったり、ニットを編んでやったりすればいい、といいだす始末。


 いや、母、わたくし人形で遊びたい趣味があるわけではないのよ。

 デッサンに使いたいの。

 と言って、ファンタジーな設定の衣装を着た素体を見せた。

 母、沈黙。

 なんだかどうでもよくなったみたい。


 そこで、評価が低くもなく、値段もお手頃なのを注文し、さらに見つけたお人形の顔(顔だけ!)を注文。

 ガラスの目がいい感じだったので。

 これでイラストのクオリティーが上がること間違いなし!


 別にお人形趣味があるわけではないのよ!

 人間は動くからだめなの!

 それだけなのー!!!

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