6.(わたし) 遠い日からの来客 / 日本料理
ガレージに通じているテラスに、わたしは立った。外にはそよ風が吹き、さわやかだった。
初めて見る車だけど、その車の趣味と、ガレージの入れ方と、運転席の
それはとても
彼は、運転席から降りてきた。清治おじさんと目を合わせ、にやりと笑った。次に、彼の視線はわたしを
わたしも同じだった。思い出から立ち昇った
「ナカニシ!」
ほとんど悲鳴だった。わたしはテラスを駆け降り、ナカニシに飛び付いた。
「望美! 大きくなったなあ!」
わたしはナカニシの胸に顔を
見上げると、ナカニシはおおらかな笑顔でわたしを見下ろし、
「何年ぶりだろうな……ずいぶん長い間、日本を放っておいたもんだ。最後に会ったのは、お前が
「幼稚園の、
ナカニシ、日本に帰って来たの? いつまでいるの? ずっといるの?」
「
さあ、そろそろ
「うん……」
わたしはナカニシと手をつないでテラスに戻った。ナカニシは清治おじさんと
「久し振りだな。清治、会いたかったよ」
「ナカニシ……」
清治おじさんは、目に涙を浮かべていた。おじさんはナカニシの手を固く握り返した。
わたしは台所に立ち、大急ぎでお昼ご飯を作り直した。五年ぶりに日本に帰ってきた人に、インドカレーもどきなんか食べさせられない。
まずは白いご飯を、塩こんぶと梅干、焼きのりとしょうゆで食べてもらって、その間に……。いりこ、だし
「ついでに、めざしがあれば言うことないんだが……」
清治おじさんがわたしを急かした。
「冷蔵庫の魚の
わたしはめざしを
「日本に帰って来たんだなあ」
ナカニシは満ち足りた顔をしてお茶をすすりながら、おじさんとわたしが食事をするのを眺めていた。
「あの幼稚園の女の子が、ここまでになあ……望美、立派に育ったな」
面と向かってほめられると、照れくさい。
「そう? 普通だよ?」
わたしはうつむいて、めざしを一本かじった。
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