第4話 お酒

 明日は俺の仕事は休み。ということで、今日はリューカルさんと盛大に酒盛りをしている。

 元々俺がいろんな酒を飲むのが好きなので、ビールや酎ハイは当然として、ワインや日本酒など結構種類がそろっている。つまみはコンビニで買ってきたもの。もしくは冷蔵庫にあるもので、俺が作っている。……あとはリューカルさんが持ってきた異世界の食材で色々。

 俺が焼酎をちびちび飲み、リューカルさんは大ジョッキのビールをごくごくと言い音を立てて飲んで……あ、飲み干した。


「あ゛あ゛ーっ!やっぱりトーヤさんの世界のお酒、美味しいですねぇ!」


 仕事終わりのおっさんを彷彿とさせるほど気持ちのいい飲みっぷりを見せるリューカルさん。何というか……口にビールの泡ついているのも絵になるな。美人凄い。

 そして大ジョッキビール飲んでも一切酔いつぶれる気配を見せないのは流石はドラゴンといったところか。俺もいろんな異世界作品呼んでいるが、大抵のドラゴンは酒に強い。例に漏れずリューカルさんも酒に強いようだ。アルコール耐性も強いみたいだなー……あれ、人間が一気飲みしたら死ねるよ。


「いつも思うけど……リューカルさん、大丈夫なの?そんなに飲んで……」

「あはは、平気ですよ。これ位で私は潰れませんよー?ま、心配があるとするなら美味しすぎてトーヤさんのお酒全部飲んじゃうかもですかねー」


 そう言うと、リューカルさんはちょっと値段の張る焼酎の瓶に手をかけ、そのままラッパ飲み――することはなく、小さなグラスに入れちびちびと飲み始めた。あ、そこは普通に飲むんだ……

 ところでふと思ったのだが、リューカルさんはこの世界に来るまではどんな酒を飲んでいたのだろうか。この異世界の部屋が出来てから元の世界の酒を飲んでいないとは言っていたが……?そのことを聞いてみると


「凄い不味いとは言わないんですけどね。やっぱりこの世界の物に比べるとってなります。私の世界にもワインとエール……ビールですね。それならありますけど、トーヤさんの世界の物を飲んだ後だと……何て言うんでしょう。味が雑。」

「ドワーフとかいないの?酒好きのイメージがあるけど。」

「いますけどね。そして言う通り酒好きで、酒造りもこなしますが、決定的な違いとして機械と言うものがないですからね。」


 そこは魔法の力がどうにかと聞いてみたが、結局は魔法も人の力でどうにかするもので機械のように一定の力で作業するというのは至難の業でリューカルさんも難しいらしい。

 機械って、この世界の技術力ってすごいんだな。魔法がない故の技術の進歩ってことなのだろうか。


「あ、トーヤさん!クラーケンの足持ってきてたんですよ!これであれ!たこ焼き?つくりましょう!」


 いや、どこから取り出したのさ、そのタコみたいな……デカっ!え、それ一本!?リューカルさんの身長ほどあるけど!?それでたこ焼き?え、あ、はい。美味しそうなんで作りますけど……あの、半分たこ焼き、半分アヒージョでいいですかね?ワインと合います……あ、OK?作りましょう!


 そんなわけで、ラストはたこ焼きとタコのアヒージョのタコパで俺とリューカルさんの出会ってから何回目かの酒盛りが終わった。酒がいくらか余ったので、良かったらリューカルさんの世界に持って帰るかと提案してみたが、全力で拒否された。理由を聞いてみると……


「戦争の火種になりかねませんから。」


 酒の魔力って、怖い。

 

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