危険指定
宿を出たあとギルドに寄ってそっちにも置き手紙を残しておく。
まだギルドは開いていなかったためドアの隙間に投げ込んでおいた。
大通りを通るが人がまだ少ない。
だが開店をしているお店も少しある。
それもそうだ、なぜならまだ太陽が登っていないからだ。
恐らく、六時ぐらいだろうか。
俺は開店しているお店の一つの家具屋に行き、ソファー、机、椅子、皿など必要なものを買い揃え|無限収納(インベントリ)の中に入れた。
その後食材や俺が読む本も買った。
門を通り|魔物の大行進(モンスターパレード)の戦いが起こった草原を抜けた。
通っている時は至る所に血や焼けた跡が残っていた。
【|盤上の地図(ボードマップ)】
|盤上の地図(ボードマップ)を起動させ、どこに向かうかを考える。
そして南に向かう。
そこには大きな谷があった。
名前は確か幻惑の谷だったか。
俺はそこに向かうことにした。
草原を抜けた後ルティーと出会った森に入り、奥に進む。
数分歩くと森の木々がなく底が見えない程大きな谷が現れた。
これが幻惑の谷だ。
入る前に、こいつらが起きるのを待とう。
自然魔法を使い小屋を作った。
そう言えば俺っていつも外で寝る場所って小屋だよな。
今度家でも作るか。
俺は作った小屋に入り|無限収納(インベントリ)の中に入れていたソファーと机と椅子を出し、ソファーにハクとルナとネルを寝かせ、紅茶を作り椅子に座って本を読んでいる。
ふぅ、紅茶はうまいな。
「ふわぁ〜」
「ぅん〜」
「くわ〜」
三人とも違う言葉を出しながら、ほとんど同時に腕を上にあげて体を起こした。
「おはよう、やっと起きたか」
「おはようございます、シンヤさん」
「おはよう、ご主人様」
「おはようですご主人」
眠たそうな目を擦りながら起きる三人。
「シンヤさん、ここは?」
「俺が作った小屋だ」
「……作った。相変わらず規格外ですねシンヤさんは」
ネルはそう言うと何かを顔をしたに向け何かを考え出した。
そしてガバッと顔を上げこちらを見る。
「シンヤさん。私たちをこの小屋に運んできたのってシンヤさんですよね」
「あぁ、そうだが」
「その時私って起きてないですよね」
「ぐっすり寝ていたな」
ネルの質問に普通に答えていくがネルは何故か顔を俯かせた。
「ハク、ルナ。ネルはどうしたんだ?」
「あのねご主人様。女の子は男性に寝顔を見られるのが恥ずかしいんだよ」
「そうですよご主人。だからあまり女の子の寝顔を見てはダメですよ?まぁ、ボクなら見てもいいですけど」
「私もいいよー」
俺はチラリとネルを見ると少し顔を上げていたネルは慌ててまた俯いた。その時一瞬見えたが、たぶん顔が赤かったと思う。女心はよくわからんな。
「そ、そう言えばシンヤさん。この小屋ってどこにあるんですか?」
「ちょっと待て」
「はい?」
ネルは顎に人差し指を当て首を傾げる。可愛いなぁおい!
「俺は敬語じゃなくていいって言ったぞ?」
「はっ、そうでした……」
「おい」
「わかりまし……わかった。それでこの小屋ってどこにあるの?」
「あぁ、そんなことか。幻惑の谷の目の前だぞ」
ネルは俺が幻惑の谷と言った瞬間、ひどく驚いた顔をしていた。
「げ、幻惑の谷!?それホントなのシンヤ!」
「あぁ、ほんとだが。それがどうした?」
「幻惑の谷の森ってのわね、A級危険指定されている場所よ」
「A級危険指定?ああ、あのギルドにあった説明書にも書いてあったな。まぁ、ちゃんと読んでないけど」
「なんで読んでないのよ!いい、説明するわよ」
見ている時はオドオドしているネルが、珍しくしっかりしていた。
一つ目は危険指定とはその場所がギルドの調査により、危険と認定されて場所のこと。
二つ目はA級とは、その場所の危険さを表すもの。
三つ目はその危険さは、C、B、A、に分けられている。
C級の場所はCランク冒険者のパーティーが二組あったとしても全滅する可能性がある場所で、B級A級も同様の基準。
ネルは指を人差し指から一本ずつ上げて、一つずつ説明してくれた。
「なるほど。それがどうかしたか?」
「どうかしたかって、それほど危険な場所なんですよここ!」
「そんなの大丈夫だ」
「何を根拠に……」
「俺は約二万の魔物を一瞬で葬り去る力を持っている。そしてその仲間は幼女だがAランクの真ん中ぐらいの強さを持っている。最後にお前はこれからずっと成長していき、Sランク上位かSSランクまで行ける力がある」
「は?……私がSSランク?」
「あぁ、だから大丈夫だ」
俺はネルの顔を見てちゃんとそう言った。
ネルはいつもオドオドしているが、潜在能力は人並みより高い。
ネルはしっかり訓練して、自分に自信を持つと今とは別人になっているだろう。
「そ、そうなんだ。えへへ……」
ネルしっかりしていた姿からまた俯き両頬に手をやり、何やらニヤついてる。何あれ可愛い。
ネルの姉であったチルは美人だったが、ネルは可愛い系の顔立ちだな。
「それより、なんでこんなところに来たんですか?」
「ん?別に理由はないよ?ただ近くにハクと似た力を感じるんだ」
「似た力?」
「そうだ、たぶん行ってみたらわかると思う。なぁハク」
「うん」
「それじゃあハク、ルナ。飯作るからネルを連れて椅子に座って待ってろ。ネルもだからな」
「わかった」
「待ってるよー、ご主人様」
「楽しみです、ご主人の料理」
ハク、ルナ、ネルは机の周りに置いてある四つの椅子の内三つに座る。
その間にキッチンに行って何か軽い物でも作ろう。あ、そう言えばパン買っていたからそれを使おう。
「それにしてもシンヤって料理できるんだね」
「そうだよー、ご主人様って何でもできるんだー」
「はい、ボクたちの訓練のときも的確に指示してくれたり、お風呂のときはご主人の洗い方がすごく気持ちいいです」
「お、お風呂!?」
「うん、一緒に入ってるよ?」
「それにあの容姿。完璧です」
「た、確かにあの容姿は反則だわ。笑顔とかどんな武器よりも強力」
「そうだねぇ」
「誰の容姿が反則で笑顔が強力なんだー?」
私がハクちゃんとルナちゃんとシンヤのことを喋っていると本人の声が聞こえてきた。
「べ、別にシンヤのことじゃないからね!!」
「ご主人様のことだよー」
「はい、ご主人のことです」
「ち、ちょっとーー!!」
おお、ネルが顔を真っ赤にし頬を膨らませぷんすかいってる。
「俺の容姿が反則?それくらいブサイクってことか?そんなこと言われたら傷つくぞ、俺」
「違う違う、かっこいいってこと」
ハクは首を左右に振りそう言った。
「いや、俺は別にかっこよくないぞ?俺以上の男は沢山いる。ハクやルナ、ネルのほうが容姿が優れていて可愛いぞ」
俺は素でそう言った。
「ご主人様は自覚なしなんですねぇ。ご主人様よりいい男が沢山いたらヤバすぎですよ」
「ご主人ー、ネルさんを見てくださいよ」
ハクはやれやれ、と言った動きをしている。
俺はルナに言われたのでネルを見るとめちゃくちゃ顔が真っ赤だ。
「ネル、大丈夫か?風邪でも引いているのか?」
心配なのでおでこを触ってみた。
うん、大丈夫だな。
プシュー
ん?なにか音が聞こえるな。
前を見るとネルの頭から湯気が出ていて、「ふにやぁ〜」といった声を出し目はくるくると回っていた。
そしてネルは俺にもたれ掛かって気絶した。
は?ほんとに大丈夫なのか?
俺はソファーにネルを寝かせた。
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