帰還
「さて、戻ってきたしギルドに帰るか」
「うん!」
「ですね!」
二人は可愛い笑顔で俺の言葉に返事をしてくれた。
日はまだ高く上っている。
数分歩いて王国に入る門に行き冒険者カードを見せ中に入った。冒険者カードは身分証にもなるようだ。
そして大通りを通り冒険者ギルドに入った。
「エミリさん、依頼終わりました」
「あっ、シンヤさん。お疲れ様です」
「素材ってどうすればいいですか?」
「ここに出してもらえればいいですよ」
「わかりました」
俺は|無限収納(インベントリ)からウルフプラントとその背中から取った白癒の花、メタルウルフ本体とオーク二十体、ハイオーク六体、オークキング一体の死体を全部その場に出した。
それを見てエミリさんは目を丸めてパチパチ閉じては開け、閉じては開けを繰り返していた。この死体を見てまだ昼間っから酒を飲んでいた奴らも静かになっていた。
「こ、これってメタルウルフ!ハイオークにオークキング!!それにアイテムボックス持ち!」
エミリさんは慌てた様子で受付から二階に上がる階段へ走っていった。
「お、おい。あいつって今日登録したばかりだろ」
「マジで!」
「ああ、そうだ。絡んでたミゴがぶっ倒されてたぜ」
「はぁ!?今日登録したばかりの新人にBランクのミゴさんがやられたのかよ!」
「俺は見たぜ」
何やら他の冒険者たちはヒソヒソと話をしている。
っと、エミリさんが戻ってきたな。
「すみません、一度ギルドマスターの部屋に行くので付いてきてください」
「わかりました」
俺はエミリさんに連れられ二階の奥にある部屋にエミリさんと向かった。
コンコン、エミリさんはドアを叩いた。
「ギルドマスター、エミリです。シンヤさんを連れてきました」
「わかった。入れ」
部屋の中から聞こえてきたのは綺麗な女性の声だった。
俺たちは部屋の中に入った。そこに居たのはソファーに座った女性とその後ろに立っている一人の男だった。
「君がシンヤだね」
「はい、俺がシンヤです」
「私はレミール、このギルドのギルドマスターをしている。私の後ろにいるのが副ギルドマスターのタバスだ」
ギルドマスターのレミールさんは柔らかい笑顔で俺に自己紹介してくれたが副ギルドマスターさんは何故か俺を睨んでくる。
俺はレミールさんのソファーと反対側のソファーに座りハクとルナは俺の左右に座っている。エミリさんは壁際で立っている。
「さて、君が呼ばれた理由は分かるかい?」
「俺が持ってきた魔物でしょうか」
「そうだ、本来オークはDクラスの魔物でハイオークはD+のクラス、オークキングはC+だしメタルウルフはBクラスの魔物だ。Eランクの君が倒せる敵じゃない」
ん?なんか聞いたことのない言葉が出てきたぞ?
俺はクラスという言葉が分からず首を傾げた。
「エミリ、クラスのこと教えてなかったのかい?」
「あっ、忘れてた!」
「そうか、じゃあ教えておくよ」
「ありがとうございます」
「クラスというのはその魔物の危険レベルを表している。Eクラスの魔物はスライムやホームラビットなどの雑魚でEランクの冒険者が一人から二人で倒せるレベルだ。E+は二人から三人、DクラスはEランク冒険者が三人から五人でまたはDランク冒険者が一人から二人、D+は三人から五人などと一定の人数で討伐することを表すのがクラスだ」
「へぇ〜」
「よければ説明書を持っていきな。一人一冊無料で提供しているよ。受付に行ったら貰える」
「ほう、それはありがたい。ぜひ貰っておこう」
「そして話の続きなんだけど君たちはBクラスの魔物やC+の魔物を倒してきた。それにクエストを受ける前にはBランク冒険者のミゴを倒したって聞いている。これは本当に君たちがやってきたのかい?」
レミールさんは真剣な表情で俺たちを見てくる。
俺たちは疑われているのだろう。だから副ギルドマスターさんは睨んでいるのだろう。
じゃあ、ここは真実を伝えよう。
「あぁ、俺達がやった」
その時、俺の顔の部分に一つの物飛んできた。
パシィィン
「これはなんだ?レミールさん、副ギルドマスター」
それは副ギルドマスターの拳だった。
「なに、ただ試しただけさ。メタルウルフやオークキングを倒したならこれぐらいのパンチは止めれるだろうと思ってね」
「それで?」
「合格だ。君をBランクまで上げよう」
「あれ?こいつらは?一応こいつらもオークを倒してたんだけど」
「そうなのかい!じゃあ、君たちはCランクだね」
自分のパンチを軽く止められ驚いている副ギルドマスター、見た目が子供のハクとルナがオークを倒したと聞いて驚いているレミールさんの顔、二人とも面白い顔だなぁ。
「素材ってどこで売ればいいんだ?」
「あぁ、ギルドで買い取ろう。報酬は先に下で受け取っておいてくれ、買い取りのお金は恐らく明日には渡せるからまた来てくれ」
「わかった」
俺はレミールさんとの話が終わり一階に戻った。
「はい、これが今回の報酬ですと説明書です」
「ありがとう」
「あと、これがBランクとCランクの冒険者カードです。しっかり持っておいてください」
「じゃあまた明日」
俺はそうエミリさんに告げるとギルドを出た。報酬は銅貨五枚だった。
外は少し暗い。18時半ぐらいだろうか。
そして【|盤上の地図(ボードマップ)】を発動し宿を探した。
数分後、【|盤上の地図(ボードマップ)】で探し魔力を感じた路地裏に滅多に見つからなさそうな宿に行く途中で目の前で一人の女の子が倒れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます