奈落の底は最下層

「神夜くん、どうしたの?」

「黒瀬くん?」

「いや、ちょっと待ってくれ。愛菜、雫」



俺は愛菜と雫以外を凍らせベヒモスに近ずいて行った。



「あ、危ないよ神夜くん!」

「く、黒瀬くん!」



二人は何かを叫んでいるが今はベヒモスだ。



「どうした?ベヒモス。どうしてお前がここにいるんだ?」



俺はこいつを知っていた。

理由はベヒモスが生息している場所が『神界』だからだ。こいつは偶に地上に降りて来るらしい。



「「えっ!」」



後ろの二人は恐らく驚愕しているだろう。驚きの声を発している。



『久しいな、神夜よ』

「そうだな、久しぶり。で?なんでここにいるの?」

『それはお主を呼びに来るよう頼まれたからだ』

「誰に?」

『それは着いてからのお楽しみだ』

「わかった、場所は?」

『我に付いてこい』

「りょーかい」



俺はベヒモスとの会話を終わり付いていこうとしたが少しベヒモスに待ってもらい愛菜と雫とに話しかけた。



「愛菜、雫。俺は今から別の場所に行く」



この言葉を聞き二人は驚いた表情を見せた。



「神夜くん!それはどういうこと!」

「どういうことって、呼ばれてるから」

「誰にですか?黒瀬くん」

「いやー、まだわかんない」



二人は心配のしているような顔をしていた。


俺はそんな二人から腕を引き【隷属の腕輪】に触れ魔力を無効にした。


俺は愛菜と雫の向かって言った。



「愛菜、雫。俺は今から別の場所に行く。だが必ず生きている。それだけは信じておけ」



二人は目に涙を浮かべた。



「そんな泣きそう顔を見せるな。俺はいつでもお前達を見守っている」



そう言うと俺は二人の頭を撫でた。その際俺の手のひらが輝き出した。二人に俺の加護を与えたのだ。

そして二人は何故か顔を赤くした。



「あと、このペンダントは肌身離さず付けておくように」



俺は|無限収納(インベントリ)から二つのペンダントを取り出した。それには一つずつ宝石が青と黄色の宝石が付いていた。



────────


【邪悪を祓いしペンダント】(効果)付けている者に近ずいている邪悪なものを全て祓う。


────────



「いや!行かないで!」

「私からもお願いです!行かないで下さい!」



俺は泣きじゃくる二人を必死に説得し泣き止ませた。

だって今、俺の目の前で超絶美少女の二人が泣いているんだよ?そりゃあ必死にでもなるよ。



「ほっ、本当に生きているの」

「ああ、絶対に生きている」

「必ずですよ、黒瀬くん」

「当然だ。必ず。あと、俺の事はベヒモスに殺された事にしておいてくれ、氷はベヒモスがやったって事で」



まだ少し泣いている二人にじ「あと、この国には気をつけろ。危険だ」と耳元で言い残しじゃあなと笑顔で言いベヒモスの元に向かった。



『では行くぞ』

「ああ、いつでも」



俺は凍篭華を『|古の王国(アトランティス)』の中に戻し、そして『|氷の世界(ニルブヘイム)』を溶かしてベヒモスと大穴に飛び降りた。



俺は今ダンジョンの底に落ちている。ヒューーーーという音が聞こえる。


視界は真っ暗、方向もわからずわかるのはベヒモスと落下しているということ。


普通なら‥‥



俺のスキルには暗視があるからこんな場所でも昼のように明るく見える。

前にはベヒモス、左右後ろには壁。下はもう目の前に地面がある。


そして俺とベヒモスはダンジョンのそこの地面に勢いよく激突した。



ドォォォォオオオオン!!!


俺は着地の瞬間に激突した衝撃を殺し着地した。


今気づいたが底にも光石があるらしく暗視のスキルがなくてもちゃんと見える。


「さて、ここは何階層だ?」


【|盤上の地図(ボードマップ)】


そう呟くと俺の前に立体的な地図が現れた。


ここは100階層らしい。そして今いる場所がまさかの最下層である。

ボードマップを出現させた俺は五階層にいる雫と愛菜にボードマップ専用のピンを指した。

これが刺さった人は俺に行動をチェックされる。


まぁ良く言えば安全の為の確認。悪く言えばストーカーだ。



「ベヒモス、どこに行くんだ?」

『付いてこい』

「へいへい」



俺はそう言うと歩き出すベヒモスの後にはついて行った。


それにしてもあの穴って一気に100階層まで続いていたのか、こりゃ攻略の近道だな。

でも常人なら落ちて死ぬから近道とは言わないな。


探索している中たまに図鑑に乗ってあった珍しいオリハルコンとミスリル、アダマンタイトまでもあった、だから俺はそれらを全て採掘し|無限収納(インベントリ)の中に入れた。


そしてまた探索を再開し歩いていると【索敵(極)】に反応があったのでそちらに向かいその魔物を鑑定してみた。



【名前】ゴールドタートル

【レベル】430

【HP】16000

【MP】5700

【攻撃力】6000

【魔攻力】4800

【防御力】23700

【魔防力】21000

【俊敏力】300


スキル

甲羅強化 隠密 噛み付く


魔法

土魔法Lv6 風魔法Lv6 結界魔法Lv8



このステータスとスキルを見て俺はすぐにわかった。こいつは経験値になる魔物だということを。


体は名前の通り金色の亀、金属で出来ているようだ。しかも風魔法と結界魔法を使っているのだろう、結界魔法の薄い膜のようなものを体に纏い、風魔法が体を中心に外を回っている。


さすが100階層、これは今の勇者が突撃すると剣や装備ごと細切れになっているだろう、もし風を突破したとしてもあの結界は絶対に破れな

い。



『あっ、魔物倒すの面倒臭いからよろしく〜』

「なんだよ!お前も手伝えよ!」

『だってここ狭いし、我あんまり動けないし』

「ったく!使えないな」



俺は文句を言いながらもそんな風や結界ごと凍篭華でそいつの首を切り落とした。

こっちの方が早く殺れるからな。

ちゃんとゴールドタートルを|無限収納(インベントリ)の中に入れてから探索。


それから出会った魔物はすぐに首を切り落として|無限収納(インベントリ)の中にしまい進んでいった。



「んっはっはっー、ここは金属の楽園なのか!なあ、ベヒモスよ。また、アダマンタイトを見つけてしまった!」



それにしても珍しい金属ばかりじゃないか?



俺がそう考えているとまた【索敵(極)】に反応があった、次の角を曲がったあたりだな。


そこに居たのは火山が小さくなってマグマを垂らしているものを背中にくっ付けている亀だ。


【鑑定】



【名前】ヴォルケーノタートル

【レベル】637

【HP】35000

【MP】27000

【攻撃力】54800

【魔攻力】30600

【防御力】42000

【魔防力】40000

【俊敏力】5000


スキル

噴火 噛み付く 硬化 気配察知


魔法

火魔法Lv10 土魔法Lv7 炎魔法Lv8



ヴォルケーノタートルは俺の気配に気づきこちらを向くと同時に口から何かを数個飛ばしてきた。かなりの速さだ。

だが俺には見えていたのでそれを切った。

別に当たっても物理攻撃無効と全魔法無効のスキルがあるから問題ないんだが、これは本当にもしも攻撃が当たった時ようなので対処出来るなら行っている。


そして見てみると炎を纏った岩だった。

恐らく土魔法で口の中に岩を作り炎魔法で纏わせたのだろう。


切っても切っても飛んでくる。周りには切り落として凍っている岩が落ちている。



あぁ!鬱陶しい!!



俺は岩を全て避け接近した。するとヴォルケーノタートルの背中の火山が膨れ上がり‥‥‥


噴火した。



ドドドドドドドオオォォン!!!



大きな音をダンジョンに響かせ火山からはマグマを多く流し火山弾を色々な方向に飛ばしていった。



俺は火山弾を切って避けて接近しヴォルケーノタートルを見てみると体に溶岩を纏っていた。


これで切られないとでも思ったのだろう、しかし俺の武器には【絶斬】と言う全てを斬るスキルが付与されている。凍篭華もその一つだ。


それにしてもベヒモスについて行ってるが本当に何もしないなこいつ。


|無限収納(インベントリ)にヴォルケーノタートルを入れてまた進む。


何回か別のタートル系がいたが全て切り落とした。

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