神々に育てられた人の子は最強です
@kuta-rune
プロローグ
雲の上、神界と呼ばれる場所がある。
そこは美しい場所だった。島は浮き、虹はかかり、山には木々が育ち、湖には|神魚(しんぎょ)が泳ぎ、川は透き通っており、木製の家が立ち並んでいて、大抵はずっと太陽が登っている場所。
そしてある夜の日、一人の神様が散歩をしていた。
|神魚(しんぎょ)に餌をやり、花に水をあげ、川で水浴びをしていた。
その神は生命神セラ。女神だった。
すると、その川からある声が聞こえてきた。
「ぎゃぁぁぁあ、おんぎゃぁぁぁあ、おんぎゃぁぁあ」
それは赤ん坊の鳴き声だった。
生命神セラは驚いた。ここは神界、神だけが住む場所。他の生物がやってくる筈が無かった。
セラは他の神に相談するため頭の中で声を掛けその子を拾いある所へ向かった。
ついた先には長く大きな机とその上に飲み物とグラスが置いてあり机の周りに十二の椅子が置いてあった。
そして椅子に座っていたのは鬼神、神祖・吸血鬼、獣神、武神、魔法神、破壊神、龍神、死神、闘神、創造神、そして絶対神様だった。
神には序列があり、一番上の神が絶対神ヴァイヌス様。圧倒的な力を持ち全ての神の頂点に立つ神様だ。
二番目は創造神ナーラス。全てのものを生み出す神様。
三番目は生命神セラ。生物に寿命を与える神様。
四番目は破壊神シヴァ。あらゆるも万物を消滅、破壊する神様。
五番目は魔法神レーネ。魔法に関する全てを扱う神様。
六番目は死神コッポロ。生物、物体の寿命が来た時その命を刈り取る神様。
七番目は龍神バロック。地上にいる生物の頂点に立つ神様。
八番目は闘神ロズ。闘いでは圧倒的な力を見せる神様。
九番目に武神テレオス。武器の扱いと武術と体術に長けた神様。
十番目に獣神ロナウド。獣の神様で気配察知に長けた神様。
十一番目に神祖・吸血鬼ルドロス。初めての吸血鬼にして神になった者。
そして十二番目に鬼神グロズ。鬼の神様であり人の体の約三倍の大きさがある。
まだまだ他にも神は存在するがこの十二柱の神が他より頭一つ、二つ突き抜けている者達だ。
「おいおいセラ、誰だその人間は。いきなり呼ばれたから来てみれば」
「てかなんで人間がこんな場所にいるんだ?」
「そうね、他の生物はここに入れないはず」
「この赤ん坊は川から流れてきたんです」
「はぁ?そんなことがあるのかよ」
「わかりません。だから皆さんをここに呼んだのです。どうするか相談するために」
「そんなのもう殺しちゃえば?」
「おぉ、その考えがあったのぉ」
「そうだな、人間なんて碌なもんじゃねぇ」
最初に話してきたのは闘神ロズだった。それに続き武神テレオス、魔法神レーネ、龍神バロック、死神コッポロ、破壊神シヴァ、創造神ナーラスだ。
ロナウド、ルドロス、グロスはギリギリ上位の神に入っているのであまり口を開かない。
何故この神たちは人間をここまで悪く言うのか、それは単純な答えだった。
人間の愚かさを知っていたから。
神たちは神界でずっと人間のことを見ていた。そして気づいた、人間はすぐに人のものを盗み、壊し、他人に罪を擦り付け自分は安全な所へ逃げる。
神たちは地上を見ている時いつもの人間の闇の部分が映っていた。たまに善の姿を見る人間もその姿は他の人間がいる時だけで裏では闇の顔を持つ。
だが光の部分もある。他人に頼り頼ってもらい、信頼し信頼する、裏切っても許すという心を。だから多少の闇はいいだろう。その闇を正す者がいれば。
けれども、もし本当にそんな善意を持った人間がいたとしてもそんな人間が二人はいないと周りの人間がその心を闇に染めるだろう。
そしてまだ七柱の神は人間の闇を語っている。そんな中絶対神ヴァイヌスが自分の前に置いてあるグラスを指で鳴らした。
チーーーン
その音に気づき七柱の神はすぐに口を閉ざした。
そして絶対神ヴァイヌスは語った。
「世界に存在する人間に光を期待するのは諦めよう。だがこの赤子には周りの闇に負けない力を持たせ普通に生かせよう」
「ヴァイヌス様、それはどういうことですか?」
「なに簡単なことだ。人間の闇から己を守れる力を持たせればいいということだ。それで良いか?」
「「「「「「「「「「「はっ!」」」」」」」」」」」
「では具体的にどうすればいいのですか?」
「それは多くの闇から抗う力を持たせればよい」
「つまり、修行をさせる、ということですか?」
「あぁ、頼むぞ。では名前を決めぬとな」
そこからが長かった。神様全員で一人の人間の名前を決めるのに三時間もかかった。出てきた案の中には、ゲラゲラ、ふわら、アヌビス、ローランなどの名前が出てきた。
そして二時間がたったなか生命神セラはこう言った。
「皆さん、この子日本人で男の子ですよ?」と、
それから一時間たってこの名前が挙がった。
「黒髪黒目で神界の夜に来たので『黒瀬神夜』でいいんじゃない?」
こうして赤ん坊の名前が決まった。
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