第73話08話 祖母は強し?
その後、数時間2人とは話し友好を深めた。
まだ大分硬いが……初日であることを考えたら、こんなものだろう。
父様にもそう報告し、2人には家に来て貰うことになった。
勿論、住み込みになる。
だが、今回お祖父様やお祖母様が突然決めた事なので、公爵家では準備が出来ていない。
準備が出来てからと言う意味で、1週間貰うことになった。
……まぁ、準備と言っても、彼等の身辺調査もそこに含まれているのだけれど。
そんな訳で2人を帰した後、俺達は皆で夕飯を食べていた。
「リュー君、仲良くできそう?」
母様はキラキラした目で俺を見る。
こんな期待に満ちた目をされると、とてもじゃないがNOと言えない。
「えぇ、まだ初日で分からない事も多くありますが、恐らく大丈夫だと思います」
俺は当たり障りないよう答えた。
正直、母様の期待するような関係にはまだまだ遠い。
「……カミラ、まだ初日だ。まだ時間はかかるだろう」
父様はそんな母様の様子を、苦笑い気味に見ている。
「あら、
「……はぁ。そう言えば父上達は何時まで此処に?」
お祖母様は自信満々で今にも語り出しそうだったが、父様は付き合う気がないのか会話を逸らした。
「……それは早く帰れと言いたいのかしら? 嫌よ? まだ帰らないわ。 だって
「そうだ、お前になんと言われようと暫く帰るつもりは毛頭ない!」
父様のオブラートに包んだ早く帰れよに、お祖父様達は猛反発した。
それはもう凄い勢いで。
お祖父様もお祖母様も、とても感情豊かだと思う。
「……何時まで?」
「リュート君を領地に連れ帰れるなら、今すぐでもよろしくてよ?」
「「え?」」
お祖母様の発言に、俺と母様は目を丸くする。
……えぇ、俺を巻き込まないで欲しい。
只でさえ、今日は色々あって疲れているのだ。
早く布団に潜り込みたいところだ。
「だ、ダメですよ!! 折角親子で過ごせるようになったのに……」
俺は本気に取っていなかったが、母様は違ったようだ。
母様は俺が取り上げられてしまうのではないかと、顔を青くしていた。
「安心してください母様。僕は母様の傍にいますよ」
お祖母様方には悪いが、俺は母様を取る。
これは絶対だ。
俺から離れる事はない。
「カミラ、リュートをこの家から出す積もりはない。遠くに出掛ける事があるとしても、その時は私や君と一緒だ」
父様も断言する。
「ごめんなさいカミラさん。そう言うつもりじゃなかったの。リュート君を取り上げるとか、そんなつもりは全くないから安心してね」
「そう……ですか……よかった!」
お祖母様の弁解に、母様は安心して一息ついた。
場の空気が緩んだ。
「ほら、ヴィンセントが意地悪いせいで話が拗れたじゃないか」
「そう思うなら、さっさと領地に帰ればよろしいのでは?」
しかし、このまま和やかな空気に戻ると思いきや、雲行きが怪しくなってきた。
お祖父様と父様は互いに睨み合った。
「お前は宰相職が忙しいだろう? 1ヶ月位、城に泊まり込んだらどうだ? 勿論、リュートやカミラは俺達と一緒に居るから、心配しなくていい」
(訳)俺達は孫達と過ごすから、お前は暫く家に帰ってくるな。
「父上達こそ老後は私に任せて、領地で安穏と暮らしたいのではなかったのですか?」
(訳)とっとと、領地に帰れ。
オブラートに包んでいるが、本音が言葉の節々から感じ取れる。
おおぅ!?
火花がっ、火花が散っている!
今まさに
「父様、お祖父様、程々に」
俺は2人の仲裁に入ろうとする。
「あら、では間をとってヴィンセントは城に、旦那様は領地に暫く居ればいいわ。その間に私達は女子会でもいたしましょう? 名案だわ!」
お祖母様は名案ね、と胸を張って言った。
しかも、半分本気でそう思ってそうだ。
「「全然よくない!!」」
これには父様もお祖父様、口を揃えた。
こういう時に呼吸が合うのは、流石は親子と言うべきか。
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