プライド
君はそのくりくりの可愛らしい瞳でネズミのおもちゃを見つめている。長いフサフサしたしっぽをゆっくりと左右に振りながら、飛び出すタイミングを計っている。
僕は僕で君が飛びつくようにネズミのおもちゃを色んな方向に動かしながら、揺れるしっぽを捕まえるタイミングを計っている。僕は君のしっぽがたまらなく好きなんだ。僕史上、最上級のモフモフ。
さぁ、ネズミさんを捕まえてごらん。
君の肩甲骨が僅かに動いたかと思うと次の瞬間、ネズミに向かって飛びかかった。
パシッ!!シュタッ!!
ネズミはワンバウンドして、僕の膝に。のっかった。
カリカリカリカリ…
チリリリリンチリリリリン鈴が鳴る
何事もなかったかのように、後ろ足で耳を掻いている君。
え?何もしてないよぉ?ネズミなんていなかったよぉ?取り逃がす??何のことだかわかんなぁい。だってネズミなんていないもぉん。あっ、なんか耳がかゆくてぇ。
と言う声が聞こえてくる気がするよ。そうだね。君が失敗するはずなんてないよ。僕は君のプライドを傷つけないよう、そっとネズミを目の前に転がす。
パシッ!!
右の手でネズミを押さえると、僕の目を見ながら自慢げに鳴く君。
凄いね。と、褒める僕。
ほら僕も捕まえたよ。僕史上、最高級のモフモフしっぽ。
見つめ合う僕らはきっと誰より幸せだ。
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