第29話 夏休みといえば……
無事に期末テストを終え、終業式を終えていよいよ待ちに待った夏休みである。7月の中旬頃からとまぁ一般的であり、そして8月には運動会の景品である研修旅行がある。イベントが目白押しで去年とは比にならないほどである。まぁ、みなさん、教育者からハメを外し過ぎるなと警告をもらうが、それに「はい、そうですか」ときっちり守る者はいないのは周知であり、高2の夏休みなんて色恋沙汰だなんだと色々あるのが常識……俺は、まぁ除外しよう。
なんて、まぁそんな文言はどうでもよく、夏休み初日にも関わらず、せっせと朝食を作る零の姿を見る。
「零、今日から夏休みだけど、なんかプランとかある?」
「えーとですね~、イチャイチャしたいです。」
「オーケー、ちょっと待てよ。それはいつも通りだろ。」
「え~、この頃、涼さんと交わってないせいかヤバいんですけど……。」
「善処しますからその系統じゃなくて、一般的なのして……そう、例えば、海とか山とかなあるだろ。」
「じゃあ、海、いえその前にプールに行きましょう。お爺ちゃんからモニターをしてほしいってところがありますので!」
「わ、分かった。」
なんだよ、ちゃんとしてるじゃん。朝から飛ばし過ぎだろ……。そんなわけで、なぜか知らないが、あの爺さんに呼び出しを食らって、東雲グループの本社ビルに来てしまった。一等地にでかでかとビルを作り、ほんと呆れてくるよ。んでもって零の顔は知れてるからみんな道を開けてくれる、エレベーターまでもである。
「へー、やっぱり零の顔は覚えられてるもんだな……。俺、すんごい見られてたんだけど……。」
「まぁ、私と歩くとそうなってしますね。涼さんの事を知っているのは、本当に側近の幹部くらいですから。他の方々は、涼さんの名前や容姿などは噂でしかないいんですよ。」
「あぁ、そう。にしてもデカいビルだよな。来るたびに呆れてくるよ。」
「涼さんは、お仕事熱心ですからね。」
「違う、違う、爺さんの下っ端だからだよ。まぁ、バイト代貰ってるから文句言えないし、大事な孫娘に手出してんだから仕方ないけど……。」
「お爺ちゃんは涼さんのことを本当に気に入ってますからね。もう幹部候補らしいですよ……。」
「ほー、それは嬉しいな、就職活動しなくていいし。待てよ、じゃあ零は爺さんの後継ぐ感じ?」
「いえ、私は涼さんの隣に永久就職ですから……♡、涼さんが継いで……私たちの子供がその後を……。」
あ、なんかまずいスイッチ入っちゃったよ……。まぁ、タイミングよく、爺さんの階についたけど……最上階とか……ガチかよ。しかも、なんだよこの庭園みたいな空間はよ……。
その階には、熱帯植物のイミテーションに人工の小川が流れ、天井はざっと10mにガラス張りという光景があった。
「あ、もしもしお爺ちゃん、来たよ!」
零がケータイで連絡をとる。すると、エレベーターとは逆の方向から歩く人影が……。
「おー、来たか、来たか。」
威勢よく現れたのは、そう爺さんである。
「お久しぶりです。」
「お~久しいのう~。どうじゃ、零とはうまくやっておるか。」
「まぁ、はい、そうですね。」
「よし、それならばよい。して、今日来てもらったのは、またお主にやってほしいことがあっての~。」
「はぁ。」
まあ、このくだりの時点で良い事ではないというのは経験上、予感していた。
爺さん曰く、海の家的な事業にも手を出していくという事で東雲グループのホテルが所有するビーチで遊んだり、そのホテルに宿泊したりして、海の家の実験を二人でしてくれとのこと……おいおいマジかよ……。
「そうじゃな、まぁ楽しくやってみてくれ……。売り上げなどは気にせんし、零もお主とこの頃行事で忙しくて寂しい思いをしているらしいからの~。」
爺さんに小声で言われた俺には為す術なく……。
「はぁ~、分かりました。」
「決まりですね。涼さんと海に行けるなんて幸せです♡」
なんとも、こうして夏休み早々にして仕事が舞い込んできた。
~数日後~
爺さんの部下の人の車に2時間程度乗せてもらい、東雲グループ所有の”東雲オーシャンホテル”に到着した。天気は良好、案内された部屋は、ロイヤルスイートで零も俺も大興奮である。そして、海の家に案内されると、こじんまりとしているが、落ち着いた感じで良いとおもう。まぁ、そんな野蛮な人が来れるような立地でもないので安心もしている。
そして、また部屋に戻り、今後の確認である。ちなみにここには2週間の滞在予定である。
「零、今日は、俺たちのやる海の家を軽く掃除して、食材を集めるって感じかな……んで時間があったら、まぁ遊ぼう。」
「はい、わかりました。」
なぜなのか知らないが、零がまた髪色を変えている……アッシュブラウンといったかな……。まぁよく似合ってるとしか言いようがないのが、俺の語彙力の無さなわけだが、気合入ってるな……。夏場というのは、どうも若気の至りというものに乗せられてしまいがちだが、まぁこれくらいはいいものさ……眼福。
「あ、涼さん、では一応水着も着ておいた方がいいですか?」
「まぁ、うーん、掃除早めにやるか!」
「はい、そうしましょう。」
なんと俺も零に流されるようになってしまうとは……、爺さんも売り上げは気にしないって言ってるしな……うん。
そして、あろうことか零は、家から着ていた白のワンピースを何の躊躇いもなく脱ぎだした。あの、一応俺(男)がいるんすけど……。零の白い肌とともに、淡いピンク色のなんとも際どい下着姿を捉える。
「零、着替えなら、別の部屋の方がいいんじゃないか?ほら、ここ広いし、部屋あるしな……」
「いえ、ここで結構ですよ。ほら、涼さんも着替えましょ。」
「いや、着替えましょって、まずいでしょ。」
「私は涼さんでしたら見られても問題ありませんし……もう裸とか恥ずかしい所とかは全て見られてしまってますし……♡」
そう言いながら、零は着替えを続けており、わざとらしくこちらにお尻を向けながらパンツを脱いでいる……丸見えなんだけど……なにもかも…。
「あ~もう分かったよ。」
俺は諦めた……。俺ももうヤケなので、自分の……いや、零に選んでもらったややチャラめの白に水色のデザインの入った水着をスーツケースから出す。
そして、零の前だが、ズボンを脱ぎ、パンツを脱ぎ、少し興奮気味の愚息を解放する。
「そうです。涼さんも着替えましょ!(きゃあ、涼さんのちょっと大きくなってる♡)」
「へいへい……」
そんな熱視線に気づかず、俺は淡々と水着を履いていく。
零はまたしてもわざとらしく、こちらにお尻を向けた状態でゆっくりと水着を付けている。
「あれ、零、二枚も下に履くの?」
零はピンク色の水着の上に、上とお揃いの水色の水着を付けようとしていた。
「はい、涼さん知らないんですか?こっちのピンクの方はインナーなんですよ。それでこの水色が本当のです。水色の方が紐になってるので……それでピンクの方は履くタイプです。」
「へぇ~なるほどな」
「見えてしまったら大変ですから……」
「でも、やっぱりそれもそれで可愛いな、なんかちょっとエロいし……」
「もう、涼さんたら……♡、あ、でも最初はお掃除なので……」
零は、その水着の上から、ショートデニムと白のパーカ―を着た。うん、これもまた絶景かな……。
海の家はやや広くに客席もまぁまぁ、まぁ2人でもやれないことはないという佇まいである。掃除といっても、畳を少し掃いたり、テーブルのふき掃除、調理台や鉄板の下準備といったところで2時間程度で終えてしまった……。零は、そのまま海に直行したいようであったが、時間はお昼時であるためにホテルへ戻ってランチブレークである。
「あ、涼さん、今、雅さんから連絡が来て、葉山君と来るらしいです。」
「え、マジで?」
「はい、ですので一緒に食べましょう。あ、食事代等は全てお爺ちゃん持ちです。」
「おー、ありがたい。」
適当にどこで飯を食うかと話していると、やはり零らしく和食レストランと決まった。ドリンクで少し待っていると、雅と葉山の登場である。
「零ちゃーん、会いたかったよ~。あー、零ちゃんのいい匂い~」
零に会うなり、抱擁をかます雅である。
「あれ、葉山たちは旅行か?」
「いや、父から涼たちの事を聞いて、海ついでにどうかってことで五十六氏に会いに行ったら、一緒にやってみてくれと……」
「あー、なるほどな。」
「海とか行ってみたかったし、ちょうどいいかなって。あ、部屋は萩原君たちの向かいだからよろしくね~。」
準備のいいことに夏休みもこのメンツで活動するとは、いつもと変わらないな。
「えーと、午前の内に掃除などは済ませましたので、午後は……その……」
「ん、海で遊ぶか?」
「はい♡(涼さんと海デート、あぁヤバいよ~)」
まぁ、海で遊ぶという結論に至り、葉山や雅も異論はないということで食事を済ませた後に砂浜へと繰り出した。
「雅さんの水着、めっちゃおしゃれですーー。」
「零ちゃんも可愛いよー、しかも何かエロいし、もしかして萩原君のこと誘惑するの?」
「え♡そんなことは……」
「もーう、零ちゃん可愛いーー。」
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