第23話 テスト到来、そして

 新聞部という名のもとにwinwin的な関係を結んだ日も過ぎていき、今日は待ちに待ったGWの初日である。昨日、友恵ちゃんが休日を前にして合コンの話を持ち込まなかったところを見ると、彼氏候補を確保したのではないかと察したものは多いだろう。そう思って、階段を降り、リビングに行くと、休日なのに早々と朝食を準備する零の姿を見ることができた。


 「昨日、友恵ちゃん、珍しく合コンの話しなかったな」


 「あ、涼さん、おはようございます。そうですね~、なんか彼氏的な人を捕まえたと言っていましたよ。」


 「マジかよ……。」


 俺の読み通りなのね、やっと春が来ましたか友恵ちゃん。


 「もう少しで出来ますので、お皿を取って頂けませんか?」


 「うん、オッケー。」


 こういうのにも慣れてきたものだ……まだ高校生よ。そして、朝食も何度も言ったかもしれないがこの上なくうまい。零の所属する料理部では敵なし、まぁ当然である。


 「今日も、美味いね。」


 「はい、ありがとうございます。」


 相手(女性)をしっかりと毎回褒めてあげることを忘れてはいけない。美味いのが当たり前であってもである。



 「そういえば、涼さん、テストが終わりましたら、今度は運動会がありますね。今年は人数も1学年分増えますから、おじいちゃんが張り切ってましたよ~。」


 「マジかよ、去年あれのせいで体重4キロも落ちたんだぞ……。」


 「涼さんは大活躍でしたもんね。(ヤバい、思い出すだけでまた惚れちゃう)」


 「運が良かっただけだよ。」


 運動会というのは、非常にハードである。爺さん曰く、単に徒競走は面白みに欠けるようで100m走、110mH、200m走、走高跳、走幅跳、やり投げ、3000m障害、5000m、10000mだったかな……予選から行い2日間で行われる。男女総出の大イベントである。


 「今年は、400mと800mを追加するそうですよ。」


 「マジかよ。もう出なくていいよ。」


 「私は今年も涼さんのケアに回りますので、応援ですね。(涼さんの体にさわり放題♡)」


 「うん、あれはほんとに助かる。」


 タイム計測やストレッチなどを全てしてくれた零にはほんとに頭があがらない。しかも、ピンク色のジャージ着た可愛い零を見たら、もう頑張るしかないでしょ。




 そして、GWも3日ほどはショッピングセンターなどに行ったり、日帰り旅行等、まぁデートをして残りはずっと図書館デートなのか勉強なのかということをした。俺も勉強会とかやんないで零としている方が楽しいし、自分の時間も有効に使えるようだということに気づいた。


 


 そして、テストが4日間にわたり、行われた。難易度的にはまぁまぁ普通である。発展問題もあったが、問題集にあった問題の値が変えられたものであった。零もなんとかできましたと言っていたから大丈夫だろう……。テストが終わり2日もすれば順位表が出される(各教科と総合20位まで)、まぁ10教科なので1000点満点と言ったところである。



 「涼さん~、すごいです、すごいです。涼さん、また一位ですよ。」


 「おーラッキー。ちょっと不安だったんだよね~。」


 朝早めの玄関の掲示板近くで零の声が響く。自分に名前があるのかどうかと見に行くのかと思えば、俺の名前を探しいたとは……。


 「あれ、零もあるじゃん、数学と国語と英語に……んで総合が10位ってスゲーじゃん。十傑入りだぞ……。」


 「えぇ、ほんとに私が10位、ええーーーー。」


 「頑張ってたもんな……。」


 「涼さーーん、ほんとにうれしいです。涼さんと一緒になれました。」


 と、誰もまだいないのは良いことに学校で抱き着いてきた。誰か来たらマジで危ないんだけど……。


 パシャリ


 「どうも、新聞部の秦です。朝からお熱いですね。」


 

 「何の用っすか?また売る感じ?」


 「いえ、先日の売り上げでかなり持ちますので……それにこれを記事にすると赤点の方々、頭のあまり良くないカップルからの利益が見込めませんので、ただ撮ってみただけです。もちろん、差し上げてもよいですよ。」


 「はい、欲しいです。涼さん、すこしポーズを変えてもらって……」


 そして、零の指定の構図から5枚ほど撮らされた。


 「では、放課後あたりにお渡ししますね。」


 「はい、待ってます。」


 零のテンションがこれまでになく高い、勉強系統で……。


 その後、教室では葉山が2位、雅が7位ということでしばらく盛り上がった。雅と零はずっとキャーキャーやっていた。ちなみに言うと、俺の勉強会に参加していた人らには、苦手教科での赤点者が続出したらしい。



 そこからはまた普通に授業日が始まる。零の成績の良さに爺さんや両親も大喜びであったのは言うまでもない。いつも通り、俺は寝て、零がノートをとるというのもごく当たり前になっているこのごろにそれはやってきた。


 「今度は、運動会は始まるからみんなどれに出るか決めておいてね。総合3位以上のクラスには、夏休みに国内の研修旅行がプレゼントされるから。あ、修学旅行とは別だからね……。」


 ということが友恵ちゃんから話され、なぜか我がクラスは、急遽LHRを使っての記録会が行われた。そして、そのタイムをもとにクラスの女子らを中心として出場メンバーが決められた。ちなみに俺は去年の成績のせいなのか、長距離系の種目以外、すべてにエントリーとなった。葉山は400mと800mと長距離系なので俺と当たるかもしれない。雅もスポーツはできるために女子の部では優勝候補である。他のクラスにも色々といるはずだ……これは陸上部員も参加して良いことになっているのだから…。零も一応走ってみたが、平均タイムだった……零の走る姿や疲れている姿に興奮を抑えられない男子生徒がいたことは無視しておこう。



 「涼さん、すみません、ちょっと疲れてしまいましたので、今日は外食にしましょう。お爺ちゃんも来るそうですので……。」


 「あ、うん。零頑張ってたもんね……可愛い走り方だったし……。」


 「むーーこれでも全力なんですよ……。」


 俺たちは学校を後にして、家に帰り、着替えてから外食へと出た。いかにも高級そうな和食店に入り、個室へ案内された。もうすでに、爺さんスタンバってるし……。


 「おーよく来たの~」


 「どうも、久しぶりです。」


 「お主も零の伴侶が板についてきたの~。この前の零の成績も見たが、お主はやはりただ者ではないな……うん、嬉しいことじゃ。」


 「いえ、零が頑張ったからですよ。」


 「涼さんのおかげですよ…。」


 「まぁ、まずは食べるとしよう。」


 会食が始まった。当初はびくびくしながら食べていたが、人間の慣れというのは怖いもので今では、冷静に味の判断がつくようになった。いや、なってしまった。とは言っても、美味しいは美味しいのである。

 食べ始めていくと話題は運動会になった。


 「お主は今年は何に出るのじゃ?」


 「長距離系以外はまぁ、全部ですね……」


 「ほぅ~さすがじゃの~。まぁ昨年の成績を考えたら妥当なのかの?して、零の方はどうなのかの~。」


 零は少し苦しい表情をしていた。


 「零はまぁ平均的でしたね。他にすごい人がいたのでそちらに目が行きましたが、タイム的には女子の標準だと思います。」


 「はい、体力がないのでもう最後の方はへとへとでした。よく涼さんが余裕で記録を出していたと思います。あの新聞のおかげで涼さんに手を出そうとする者はへりましたけど、まだそういう女がいるというのは覚えておいてくださいね。分かりましたか?」


 「はい。」


 変な所で零のスイッチが入ってしまった。爺さんは助け船を出す気もないようだ。なんか黙っているし……。


 「今年は人数も増えたから、隣町のグループ保有の競技場を使うからの覚えておいてくれ。そして、練習も可能じゃからの、クラスごとにまぁ予定合わせなどをしてくれ。」


 かなり本格的だな、学校の運動会なんてレベルじゃないぞ……まじで。レクリエーションという枠でパン食いなどがあるようだけど……


 「私は、涼さんのケアということで同行します。本来なら選手と運動部のマネージャーというのが一般的ですが……。」


 そう、やはり真剣は真剣なので、また賞品が賞品なので、マジなメンツをそろえているため、基本的に練習には選手と運動部のマネージャーが参加する。ガチなのだ……。まぁ、零がいたとしても文句というより感謝がきそうだ……やる気が増すものもいるだろう。


 「まぁ、大丈夫でしょ。雅と葉山もいるし……。俺といれば、誰も文句を言えないはずだから。」


 「はい♡(ヤバい、涼さんカッコいいーー。そうそう、涼さんが優勝候補筆頭なんだもの、文句なんてつける愚か者はいません。)」


 「問題は近寄ってくるメス犬をどうしようか……」


 「零、どうかした?何か言ってたみたいだけど?」


 「いえ、なんでもないです。(危ない、危ない)」


 なんかすごい笑顔が返ってきたけど、どうした……。






 

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