第4話 生徒会は便利屋と同義
「では、詳しく申しておこう。お主らをはじめとして、昨年は色々と様子を見ることとしていた。そこで気にかかったのは、部活動じゃあな。勉学はそこそこできる者が多く喜ばしいが………。」
「インターハイとか中学選抜経験がいたはずですよ。」
俺は爺さんに意見を申し出る。
「それがの~、確かに才能のある者がいるが、そやつと練習できるレベルのものがいないのじゃ。儂の持っている施設などで練習させたりしたが、やはり同じ学校内にいた方が良いだろう。個人競技ならまだしも、団体競技ならばその方が絶対に良い。それに、お主らが部活動を見れば、部費の分配査定もスムーズじゃろ?」
「お話は分かりましたが、俺は戦力外でしょ。葉山は、サッカー部にも所属していて選抜経験者でその他にも色々と高レベルでこなせる。雅は、華道や茶道に始まり弓道など女子に人気の高い部活においては全国を見ても右に出る者はいない。そして、零は、料理部と書道部に入っていてもはや顧問とか師範レベル………。そんなわけで、俺は用なしではありませんか。」
とまぁ本当にすごいメンバーだよね。自分で言ってて呆れてくるよ。
「前に言ったであろう、お主のことを色々調べたと。」
爺さんが不敵な笑みを浮かべて、胸元かや書類を出した。
「部下の調べだと、お主はかなりすごいのを~。まず、小学校では野球部とバスケットボール部で共に全国選抜入り、中学ではどうするのかと期待されていたが、それを裏切って卓球部に入り、全国大会を経験。夏場に水泳部の助っ人を頼まれ、大会に出るとこれもまた県2位を獲得で全国大会へ。ついでに、幼少期から習っている書道はスポンサーがつくほどで師範代レベル。柔道は………護身用と。」
「涼、お前何もの?」
「萩原君凄すぎ。さすが、零ちゃんの旦那様だね。」
「涼さんから書道を教えて頂ける。すぐに可愛い袴を用意しないと………あ、個人レッスンの時間を作って………。」
「零ちゃん、なんか凄いこと考えてない?、本当に書道だけ?」
「しょ、書道だけです、雅さん。」
生徒会が今日一番の盛り上がりである。
「そして、余談じゃが。小学校時代は女子の全国選抜から告白され付き合うが、他県の選抜の子からも告白されている姿を何度も見たり、あまり好意的な言葉をかけてもらえないということで破局。中学では、京都の南洛中学校卓球部のエースから告白されて1年付きあうが、名家出身の彼女から既成事実を作ろうとせがまれて破局。その後、中学3年の頃に県内の利不中学校の水泳部の子から言い寄られて、初めてを経験するが、束縛が強く監禁まがいのことがあり破局。」
どこまで調べさせてんだよ、この爺さん。もうこれ、絶対に零がヤバくなるやつだろ。そして、「ほ~、凄まじいのぅ~」とか感心するなよ。場が凍るだけだろ。
「涼さん、今日はお家でお話したいことがあります。いいですよね?」
「ぁ、はい。」
さっきの表情とは一変して笑顔であるが恐怖が漂っているのは確かである。
「零、そう怒るな。」
「怒っていません。」
「よく聞け、初めてを経験したと言ったが、それは相手から無理やりだそうじゃぞ。証拠に、この男から告白された者は零しかいないのじゃ、自ら襲い掛かったのも零しかおらん。」
「えっ!、涼さんそうなんですか?」
「あぁ、そうだよ。告白されたから感謝の気持ちで付き合ったけど、心から好きになった人はいなかったからね。」
「萩原君ってかなりモテるよね。勇人もモテて大変だけど。」
「えっ、モテてるの?」
「お前、普通にイケメンだからな。雅がいつも睨みかましてるの知らなかったのか?」
「いや、まぁたまに怖い顔とか低い声になるのは知ってたけど………それ」
「そうだよ、色々大変なんだから。女子更衣室とか凄いんだから。」
事件は女子更衣室で起きている。うーん、勇人は普通にイケメンでサッカー部で頭も良いとかチートでしょ。
「まぁ、お主らの痴話げんかはさておき。二週間後の新入生が仮入部期間あたりから始めるからのぉ~。零と雅殿は、基本的に伴侶の専属マネージャーとなってもらう。そちらの方が安心じゃろ。まず、お主は野球部、勇人君はそのままサッカー部じゃな。では、さらば。」
と出て行ってしまった。そして、俺たちも解散した。帰り際に、雅が女子会すると言って零を持っていった。なんでも、駅中の新しいカフェに行くらしい。そんなわけで俺と葉山もどこかに行こうという事になった。今日は金曜日だから別に遅くなっても影響はない。
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