二藍の転移者たち

@tachikaze_

第1話 始まりの転移

ーーー様々な雄叫び

ーーー金属がぶつかる音

ーーーうめき声が聞こえる。


ーーー土と少し前まで生ある者の血の香りが強烈に匂う。


ーーー手には少し生暖かい赤褐色の液体と暖まった金属の感触。


ーーー口の中では鉄のようで何かが違うはじめての匂いに耐えきれず嘔吐物がこみ上げてきてた。


そして剣を振りかざす者

体と腕が離れ離れになった者

泣きわめきながら衰弱していく者

そして、目の前にはさっきまで生きていた名も無き者



ここを例えるなら【地獄】という二文字でしかないだろう少なくとも、普通の生活をしている……いや


【普通の生活をしていた】

俺の身では、絶対に目にすることのない光景だろう…


そう、これが俺が夢見た異世界転生の結果である。





3ヵ月前

蒼黎(そうれい)高校の1-A教室/昼休憩にて


「あー、異世界に行きてぇ」

学校の昼飯の時間いつもの四人と飯を食いながら呟いた。

俺の名前は[花月 結都]歴史が大好きで、ファンタジーにも憧れてる世に言うオタクである。

ちなみに吹奏楽部に所属してて、まぁ、その色々と大変です。



「異世界に行くんならやっぱ可愛いヒロインとか欲しいね」

そう言ったのは染めたであろう茶髪で赤ブチの眼鏡をかけた俺ととは同じクラスの

[三隈 俊]

世にいうチャラ男って奴である。

顔面偏差値は高いが勉強は平凡、その人がらの良さから一年生ながら生徒会を務める身でもありクラスでは人気者だ。



「異世界行くなら愛銃を引っさげて行くぜ」

コチラは【THEオタク】って感じの雰囲気の[天城 海斗]である。

かなりのミリオタでありその知識の範囲は海底から宇宙までほとんどの分野の兵器に詳しい。

なお愛銃はガバメントである。

頭の回転が速く戦略ゲームは得意で俺は絶対に勝てない。

クラスは1-B



「異世界ねぇ、存在すればええけど」

最後の4人目は坊主頭のガタイがいい

[陸奥 晴人]である。

とにかくスポーツ面では優秀である。さらに自衛隊の曹候補生を現在目指してる身であるから学力も平凡とは言いきれない。

クラスは俊君と同じ1-B




俺らこの4人は周りからは灰色と呼ばれている。

名前の由来は『青春』の

【青】という漢字の1画目を書くことも不可能

なくらいの高校生活を送っているからだ(1人リア充含まれてるのに…


今日も今日とて昼休憩の時間弁当を食べながらくだらない話をしてた。


「実際異世界いくならどういう感じの世界がええ?」

と俺は皆に聞いてみた


「んー、やっぱり可愛い女の子に囲まれるような、世界がいいなぁー!エルフとか絶対美人じゃろww」


たしかに美人なエルフには会ってみたいなぁ、上手く行けば彼女になってくれるかも…

この世界線では彼女関連でいい思い出が無いから、そういう異世界生活もええかも…って


「テメェは彼女持ちだろうが! 」


あっ、良かった俺の気持ちを海斗が代弁してくれた。


「そだね、やっぱ俺は鈴ちゃんが一番だよ!」

という言葉を言ったあと少し離れた女子グループに

「鈴ちゃんいつもありがとね!」


「俊君もいつもありがと♥」


「末永く爆発しろ」

「うっせぇ、45口径をテメェの頭にぶち込むぞ」

「そんなんより、自衛隊いれてやろうぜ」



「まぁ、今さら2年も続いてるカップルはどうでもええわ海斗はどんな異世界がええ?」

そう問いかけると海斗は眼鏡をアニメのようにクイッとした


「フフフ…やはり俺が望むのはww1のあたりの兵器でドラゴンとかと戦う世界がいいぜそして、俺は指揮官となって戦略をたてて活躍をする、そのためにはまず君たちに浸透突破戦術について深く教えて……」


「はいはーい、隙あらば講義する癖ええ加減になおしなさいよ」


「ぬー」



海斗は盛り上がるとすぐに自分の知識を教えたがる癖があり、そのせいでせっかくの女子と話すチャンスを無駄にしている。


「晴くんはどーだい?」


「異世界?

ないでしょ、普通?」



晴くんは現実を悟ってる所があるから、色々凄いと思う

まぁ、そんな所があるのにアイドル育成ゲームがすごい好きというギャップがすごいよね。



まぁこんな感じの4人でいつもくだらない話とかゲームやったりとかで楽しくやってる、ちなみにこの4人の出会いは中学からで友情はかなり固いっていう自信がある。



『異世界転生』

そんなのを信じるなんて厨二病ぐらいしかいないだろう。

俺だってこの話をしながら異世界転生する日が来るなんて信じてもいなかった。


でも


その異世界転生への信頼は


二つの意味で裏切られた




ーーー数ヶ月後ーーー


【二学期初日9月7日】


夏休みが明けた


寝坊しかけたので全速力で学校まできて(徒歩15分の所を7分で)

へとへとの状態でいま廊下を歩いてる


俺の高校生活初めての夏休みはコンクールに向けての練習で大忙しだった。(結果は、まぁ…?)



当たり前だが夏休みの課題は、今日の朝に終わらせるという事を成し遂げ無事登校した訳なんだが、もう眠たすぎて…


「おはようゆいと君!」


と俺に挨拶してくれたのは

俺と同じクラスで吹奏楽部員でもある[赤城 瑞]ちゃんだ

相変わらず綺麗なポニーテールだし可愛いよなぁ

それに、こんなに元気で性格もええ娘なんだから彼氏ぐらい普通いるだろ


てか彼女にしようとしない草食どもがいけないんだよ!


と色々考えていると…


「どうしたの?そんなに私の顔を見つめて

私の顔そんなに変かな?」

と尋ねてきた


やばいやばい、あんな事考えてたなんて言ったら確実に嫌われて話せる女子が皆無になるわ

ここは良くあるパターンの…


「ごめんごめん、ちょっと寝不足でねー、頭がボーッとしてたw」


と苦笑いと共に言っておく

これで大丈夫だろう


「寝不足は辛いもんねー、でも今日から新学期なんだから頑張ろうね!」


なんか励まされたけどほんまだなぁ、もう新学期かぁ


「それじゃ、私に先生に用事があるから!またね!」


と言い職員室まで去っていった。


ん?なんか不機嫌な顔だったな、気のせいかな

まさか俺に対して…


なんてね


俺になんか気なんかあるわけねぇよ。

もしあったら明日は弾道ミサイルの雨が降るな…




【9月7日昼】


「なぁ、そういえば来週、大学見学あるらしいじゃん。」

といつもの4人で昼飯食いながら俺は話題を振ってみる


「そういえば、そうだなてことはバスの席どうするかね?まぁおれは♡ちゃんの隣だけどなーwww」


ーーーチッ(三人同時に


「そう言ってられるのも今のうちだぞ、きっとバスに乗ってたら異世界に飛ばされるんだからな!

だからおれは夏休みに買った、ガスガンでも持っていこうかな」


と変なこといいながら、海斗は今年の夏に出た新らしいモデルのガス

ガンを机に出してきた。

多分あの意味わからない異世界の話はこれの前置きなのだろう。


「お、これは『シグ ザウエル』か」

とすぐさま反応したのは晴くんだ


『シグ ザウエル』ってたしか…自衛隊でも採用されてたんだっけ

な、だから晴くんの反応が早かったのだろう



「さすが晴人やな当たりだぜ

この銃はなスイスのSIG社とドイツのSauer & Sohn社が共同で開発しt…」

「はいはい、語りストップー」



ほんとあいつの語りはためになるけど時間がかかるしなささっと止めねぇといけねぇ


「んじゃ俺の隣は天城に任せようかな」

「おーけ」


いつの間にか海斗と晴くんは隣になるということで合意していた…


ん?


「ちょっと待って俺の隣は誰がなるんや?」


「お前の隣は誰もいないねー」 海


「まぁ、そういう日もあるさ」 晴


「お前の女事情なみに寂しーなwww」俊


ひどいな……

特に最後の発言は許せんわ

あとで、海斗のシグを試し撃ちさせてもらおうかなぁ


もちろん的はアイツだが…




【9月14日帰りのバス】


大学の見学が終わり、今は帰ってる最中だ


大学については特に興味もなく、覚えているのは昼飯の時の学食の味ぐらいだ。

あとはダラダラ講義を聞くぐらいで、特に覚える必要もないことだろう…


さて、唐突だが今のバスの中の状況を、説明しよう。


ーー寝る者

ーー友人と昨日のテレビの話をする者

ーー部活の話をするもの

ーー彼女といちゃいちゃする者(多数)

ーー友達と次の世代の戦車について話す者(2名)


など様々だが

それはどうでもいい…

とにかく非常事態が発生しているんだ…


なぜなら隣に美人な女の子が座っているからだ……



その娘は[酒匂 杏]さんといい

長めの美しい黒髪で(しかもめっちゃくちゃいい匂いがする)

そしてどこか気品を漂わせる…


おそらくこの学校で1番の美人だろう(俺調べ


しかし入学してから不登校気味だったがためか友達が少なく、仕方なく余っていた俺の隣に座っているのだ…


やべぇよ、ほんまこんな娘が隣とかどうすればええんだよ!

行きのときも声かけようと思って全然かけれなかったし……

でもこのままで続くのも嫌だ

もしかすれば俺は灰色という言葉から脱出できるかもしれねぇ…


ならば


ーー勇気を出すか…


ーーさぁ、酸素をしっかり吸って……


「「あの(さ)」」


なんてことだろう……


あちらも俺に話しかけようとしてくれてたみたいだ


しかし、わざわざ俺に話しかけるってことは何かあったのだろうか


ここは酒匂さんの会話を優先すべきだろう


となると、今さっき話さかけようとしたのは無かったことにして(無理があるかな?


「どうしたの?急に」


「えっとね…、空を見てみて」


と言われたので俺は素直に空を見てみた…


ーーおかしい


そろそろ夕焼けが美しくなる頃の空に


1つの星が出ている


その一等星のように輝く星は……


その星は……



紫のような色をしていた…


それを凝視しているとその一輪の星は、僕らの視界を真っ白にするほど強く閃光を発したのだ。



ーーそしてこの瞬間から俺の

【普通の生活】は崩れ去った。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る