゛かなしい人゛よさようなら
EikA
日常
人には誰しも、終わりが来る。
それはどうやっても変わらない。
「おぎゃあぁー」と声を上げたその瞬間から、
いや、もっと前。お腹の中で人として成っていく時から、その終わりに向かっている。
キーンコーンカーンコーン
「今日部活オフなの!カラオケ行かない?」
「あー、ごめん今日はちょっと…」
放課後、チャイムが鳴ってすぐに来る親友の言葉に用事はなかったが、なんとなく気分ではなかったので理の返事をした。
「……そっか、わかった!じゃあ、また今度さそうね?」
「うん!」
そう言うと少し悲しそうな顔をして荷物を持ち教室を出ていく。
その背中を見送ってから、私もカバンを持って教室を出た。
「あ、雨。」
気づかなかった……。
最悪。傘持ってきてないし……。
「しょーがないっか、濡れて帰ろ」
はぁ、とひとつため息をついて私は勢いよく走り出した。
バシャバシャ
「もーーー!!ほんと最悪!冷たい!」
寝坊して、天気予報全然気にしてなかったな……
なんて朝の出来事を思い出しながら、家へ向かって走る。
ガチャ、、バタン
「はぁ、はぁ、、、ただいまぁー」
もう、疲れた。
「おかえりーー」
すごい雨ね、なんて言いながらリビングから顔お覗かせるおかあさん。
「びしょ濡れ。すっごい寒い」
そう言うと、パタパタと走ってタオルを持ってきてくれる。
「はい、お風呂入ってあったまっておいで」
「ありがとう」
タオルを受け取って、だいたい拭いてから家に上がる。
「う~寒い、、」
風邪ひきそう、、、、
なんて、思いながら制服を脱ぎ洗濯機に入れて回し、お風呂へ向いお湯に浸かる。
パシャ
「ふぅ~。あったかぁ」
温かい温度にほっとする。
体が温まり、体を洗って頭を洗ってお風呂場を出る。
「おかあさーん、上がったー」
晩御飯の支度をする母に一声かける。
「もう少しでご飯できるから、部屋に行かないで待ってなさい」
もう、すっごいお腹ぺこぺこ。
あ、そう言えばお父さんに挨拶してないなと気づいて仏壇の前へ。
お父さんは、私がまだ物心つく前に亡くなった。記憶にお父さんはいないけど、写真で見る笑顔とお母さんの話から、優しい人だったんだと思う。
挨拶を終えて、テレビを見て待つ。
「あ、やば、制服乾かさないと」
明日着ていけない。
1度座り動きたくない気持ちを抑えて、制服を干す。
カチャ
「ん??」
なんだ?と思いながら下を向くと、お花の飾りがついた可愛いピン留めが落ちていた。
「あー、胸ポケットに入れっぱなしだった。壊れてないし、いっか。」
親友に持ったやつだけど、なんてことは頭の隅に追いやる。
壊れてなかったのだから大丈夫。
1人でそんなことを思いながら制服を干してリビングへ戻る。
「ご飯、出来たわよ」
戻るとちょうどご飯ができていて、いい匂いがした。
「はーい!」
いただきまーす、と言ってからご飯を食べる。
それからご馳走様をして、まったりと過ごし眠る。
至って普通の生活。
家族がいて、友達がいて、親友もいて。
当たり前の日常。
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