妹分

伊藤勇

第1話

勇の目から見たミキ、ジリリリーンジリリリーン、学生時代の先輩の青木からのベルである勇は、心で<チッ面倒クセー>と呟いた、

『勇、今暇~、』『暇じゃないけど、何?時間ならあるよ。』『あのさ、この間の女、覚えてる、あの女がホテルで飯代もタバコ代もなくて、困ってるらしいんだけど、時間あるなら行ってくれない○○ホテルの301だからさ、俺今足(車)がなくて、行けないから』『あの女って男5人連れて青木さんに、追い込み掛けてた女のミキ?金払ったんだ。』数日前に、青木から緊急電話があり、勇がすぐに、救助に向かい助けてあげたのだ。『わかった、いいよ女房と行くよ。携帯番、教えて。』『勇ちゃん…スミマセンがお願いします。』という内容のくだらない、電話だった。『もしもし、勇です、青木から頼まれ此れからミキちゃんの所に行きますんで。』『勇さんスミマセン。客が金払ってくれなくて、お恥ずかしいです。』ビジネスホテルに着いて、トゥルル~トゥルル~『今ロビーだから来なよ。』『はい今行きます。』『勇さんスミマセン。』『いいよ、今日だけだよ。』『ミキちゃん、売(売人)してんだろ。』『はい。』『儲からないだろ、やりくられてる様じゃよ。女で売人は大勢居るけど、売人か、向いてる奴、向いてない奴が居るからな。』

『勇さん、今度名前出して良いですか?』

 『何言ってんの、ダメだよ。』部屋に行くと、ミキの弟分が居た、勇さん御苦労様です、スミマセン。『おい、西田だよな、姉御のミキが取れない時は、オメーがとってやるんだよ。』『兄貴、こいつ、怒らないで下さい。私が行くなって言ったんです。』

『ミキ、オメー商売向いてないな。体掛けて売、してんだろ。それに、俺は、兄貴分じゃない、もう、兄貴って呼ぶな。』勇は面倒くさくなり、買って来た、弁当とタバコを、置いて帰ることにした。『じゃ帰るよ。』

『兄貴、スミマセンでした。』ミキは懲りずに、兄貴、と呼んだが、ほっといた。そして数日が過ぎた夜中にジリリリーンジリリリーンとミキからベルがなり。『兄貴~、今困ってて相談にのってほしいんですけど。』『何で俺が、ミキの相談に、のる義理はないだろ、何なの?なぁミキお前勘違いしてないか俺は、そんな暇人じゃないよ。』

『兄貴~西八王子のガストに来れますか?』

『ダメだよ、此れから、おまんこ するんだよ。それにな、ミキの相談にのるのに、何でワザワザ、俺が行かなきゃいけないの?お前勝手過ぎないか。いいよ行くよ、話だけ聞くよ。』人の良い、勇である『兄貴~ありがとう。』『まだ相談にのるわけじゃない、話を聞くだけ。今から行くよ。』勇は心でこう思った<俺だってたまには、ユックリしたいよ。>

ガストに着くと、ミキにわからない様に後ろの、席に着いた。ジリリリーンジリリリーン、舎弟の高広からのベルだ<今日は天誅殺かよ>(笑)『おぅ、何だ?』『兄貴御苦労様です兄貴、お時間ありますか。』『うん、西八王子のガストに来いよ、今居るから。20分以内だぞ。』電話している間にミキにみつかった。『兄貴~すみません。』『悪いと思うなら呼ぶんじゃない、それで何だよお前には金貸さないよ。』『兄貴、実は今追い込みかけられてるんです、それで家に帰れなくて困ってて。』勇は心で<どうせそんなこったろうと思ったよ。>と『どうせ、お前が悪いんだろ、相手に謝れ』

『折角来たから話は聞くけど』勇は心で<やっぱ、来なければ、良かった、来なければ良かった。>とつくづく思うのであった(笑)そして高広が来た。『兄貴御苦労様です。遅くなりました。』『おぅ、ごくろうさん、なんだ相談って、』『ミキ待ってて、舎弟の話先に聞くから、ミキ、ホテルでも泊まればいいじゃんか。』

『兄貴、金がない。』<何だよやっぱり。>と思った。

『ミキお前金持ってる時あるの?待ってろよ。此方の話済ますから』そして高広の話を聞くと、『何だよ』『兄貴、実は自分新しいシノギ、ゴト師やろうと思うんですがいいですか、』『パチンコ屋の店員仕込んだのか、それとも中国人か?まさか打ち子じゃないだろな。』

『構わねーよ。そんだけかワザワザ夜中に話すことでもないだろ、帰れよ。明日聞くよ。』そして、ミキのテーブルに行き『何だよどうしたんだよ。何処の組に追い込みかけられてるの?』『荒木さんの処です。』上部組織は勇と同じ神戸の、○○組○○会荒木組組長だ。『ネタ(覚せい剤)絡みか。』『違います』……と説明を聞き、『荒木さんは俺と、付き合いがあるんだぞ、この相談はきけないけど1日くらい助けてあげる話着けてやるよ、1日だよ、今日、ウチに泊まれ。そうすれば今日は、安心だろ。』勇は、一度あずかれば例えミキに非があろうと命に代えても守り抜く男だ。みゆきにトゥルル~トゥルル~『はい何?どうしたの。』

『みゆき、突然悪いけど、今日ミキ泊めるから事情は後から説明するから頼むね。』

家にミキを連れて行き、相手の組長に電話をした。 ミキの謝罪があれば良いです。と簡単に話が付いた。

『おい‼ミキ謝れ、それで終わりだからよ、安心しな、俺が付き添うから。お前にも言いたい事はあると思うけど、今回は謝れ…な。』勇は、勇に関係ない話なのに、何でミキを、説得しなきゃいけないんだ?と頭をひねりながら説得した。『はいわかりました、兄貴が中に入ってくれたので、荒木組長に今回は謝ります。』『明日荒木さんの所に行くからな。』

内妻のみゆきに『みゆき ご飯ある?』『えっ今から、食べて来なかったの?』『うん、ワルいね…みゆきちゃんお願いね、もうおなかペコペコだよ。』『兄貴、私なら食べましたよ。『そうか、でもな、ガリガリに痩せたままのミキを連れて行く訳には、行かないんだよ。今日は飯、沢山食べて、よく睡眠をとりな。』

『兄貴、姐さんスミマセン。』と、ミキがしおらしぃ事を言った。

『ミキちゃん良いのよ、気にしないで。』

トゥルル~トゥルル~『おぅ光信、遅くに悪いな。』

『兄貴御苦労様です、どうしたんですか。』

『明日、10時迄に道具(チャカ🔫)(拳銃)持って来てくれ。』

『兄貴、何があったんですか?』

『何でもないよ、一応、念のためだよ、心配するな。』

『兄貴、念のため、若いもん、待機させ時ます。』

『大袈裟にするなよ。荒木さんと、掛け合いだよ。』

話は他愛のない事で双方が意地になっただけの話、念のためチャカ(拳銃)まで用意した勇は

万が一話が拗れた場合、ミキだけは逃がすつもりの最悪の事態を想定しての事だ、舎弟含め若いもん、10人集まっていた、荒木組長もそれに気づいたみたいだ。話がついて、荒木組長宅を出たら、光信に高広始め、若い者達が臨戦態勢で迎えに来ていた。道具を、光信に渡し

その場で解散した

ミキにも注意して、西八王子の駅まで送り『ミキ、二度とこんなくだらない話は持ち込むな、わかったな、お前金無いんだろ、少ないけど三万、小遣いあげる、此で何とかしな、返さなくていいから。』

『兄貴有難うございました、お金までスミマセン有難うございます。』

『気にするな、でも、俺はお前の兄貴じゃない、わかったな。』『わかったよ兄貴ありがとう、また電話するね。』

『よしてくれ、電話してくるな!』(笑)


『お前飲み屋やるか?居抜きで物件あるぞ。あがりの半分持って来ればイイよ、場所は、西八王子南口だ。』『兄貴~嬉しい、ありがとう。』 『頑張ってみろ。』

勇は内妻のみゆきに話た、ミキの不器用な処が、若い時の自分を見てる様でな、だから少しだけ、手を差し伸べてやることにした。…と。

すると、みゆきが、『勇ちゃん、ミキちゃんと関係はないわよね。』

『安心してイイよ、ミキを女にする気はないよ、兄貴、兄貴って呼ばれるウチにな、情がわいて来た、だってなミキと関係を持って女にしたらケツふきが、大変だよ。だから安心して。俺だって遊ぶ女は選ぶよ。』『ふーんでもかわいいじゃない…』

こうしてミキは勇の妹分になっていった。

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妹分 伊藤勇 @Kathunori

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