講演する
【DIMO本部 小ホール】
みなさん、本日はお時間を割いていただきありがとうございます。また、こうした機会を与えてくれたジョンに感謝を。
さて、本来であれば、ホール1世界で我々日本が建設した蓬莱村の、現状と将来について語る予定でした。敷かしながら、昨日、日本政府がホール1世界における
ありがとう。
さて、ホール1世界の概要については皆さんご存じであろうと思いますが、簡単に説明させていただきますと、ホール1の繋がった先は森の中でした。ホール1世界で
まぁ、ホール2世界には、
話を戻しましょう。
そんなホール1世界にあっても、
ところが、数ヶ月前――
果たして、伝承にある
ヴェルセン王国国王ヘルスタットは兵の派遣を決めましたが、現在、南方にあるファシャール帝国が王国への侵攻を臭わせており、そちらに対応しなければならない都合上、それほど大きな戦力は送れません。魔法があるだろう? と私たちも思いましたが、魔法で直接
そうしたことから、今回、王国から日本に対して
さて、私は日本国外務省の人間ではありますが、これからお話することは日本国を代表するものではありません。あくまで個人的な発言ですので、お間違えなきよう。
王国からの協力依頼に対し、日本は極めて難しい判断を迫られることになりました。というのも、憲法で戦争を放棄しているからです。
かつて。
日本に対して、「金は出すが人を出さない」と言う批判がありました。我が国の憲法がどのような過程を経て成立したかを少しでもご存じであれば、こうした批判派的外れであるとご理解いただけると思います。また、我が国の自衛隊は、
横道にそれますが、少したとえ話をしましょう。
あなたが住んでいる隣町で、ギャング同士の抗争が起きて火災が発生した、としましょう。あなたはどうしますか? 消火器を持って駆けつけますか? それとも、消防隊員にお金を払って消火してもらいますか?
どちらもおかしな話です。そう思いませんか?
さて、話を戻しましょう。
日本には、こうした様々な制約がありましたが、それでも憲法の解釈を変えることで、国外への派兵を行いました。もちろん、国内で大きな論争になりました。個人的には、こうした外圧による派兵が、結果的に後の政変に繋がったのではないかと考えています。
そして今回。同じ地球上ですらない、異世界のことです。もちろん、
ですが、
みなさん。
みなさんは、私やほかの外交官、あるいはDIMOエージェントから、“
私は、実際に
確かに。
おそらく日本は憲法の制約上から、彼らを助けることができないでしょう。ですが、何かはできるはずです。どこかに道が、必ずあるはずです。是非みなさんの知恵を貸してください。日本にではなく、私にでもなく。
ありがとうございました。
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