第32話 兄弟
生きてるじゃん、と弟は笑って何か投げた。受け止めた手を開くと小さなダイス。
「お土産。道で拾った」
「どんどん安上がりになるな」
弟は椅子に座り、窓を開き煙草を咥えた。抑揚のない声で、元気で良かったと言うので首を振る。
「そうでもない。次は冷たくなってるかも。今のうちに顔見とけ」
鏡で足りてる、と嘯きしばし沈黙ののち、弟は口を開いた。
「それ、投げると兄貴の目みたいな色で光るよ」
それはつまり、弟の目と同じ青という意味だ。ふうん、と弟に投げると、額にぶつかり跳ね返ったダイスはちょうど中間で止まった。
「あれ?」
「何の色だって?」
一を上にして警告灯のように真っ赤に光る。どちらが影なのか、問われているようだった。
改行・スペース抜き300字!
Twitter300字ss企画 第七十六回 お題「影」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます