星屑の海を渡って
カゲトモ
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「二人は無事会えたんでしょうかね」
「え? 二人、ですか?」
「ほら、今日は七夕じゃないですか。それなのにずっと雨が降っているから」
あぁ、だから会えたのかってことか。
「大丈夫じゃないでしょうか、空の上はきっといい天気でしょうから」
「それならいいんですけれど。年に一度だし、会えなかったら可哀相だから」
ヒトミさんはそう言って小さく笑う。今日は年に一度、彦星と織姫が逢うことを許された特別な日だ。そんな七夕にちなんで色んなイベントも商店街で開催されていたりする。花屋の前に設置された笹に願い事を書いた短冊を飾るのもその一つだ。
「短冊ですか? ふふ、まぁ一応書きましたよ。職場で」
「職場で、ですか?」
「うちの会社の人、そう言うイベントごとが好きな人が多くて。お花見とか花火大会とかハロウィンとかクリスマスとか、本当にひと月ごとに色々するんです。で、今月は七夕で」
なんて楽しそうな会社だよ。ちょっと羨ましいわ。それでそれで、短冊には何て書いたの?
「え~」
そう訊ねてみるとちょっと恥ずかしそうにしてヒトミさんは視線を外した。答えるかどうしようか、そんな表情だ。
「ふふ、当ててみせましょうか」
正直自信はある。ヒトミさんは期待するような楽しそうな目でこちらを見た。
「彼氏さんに会えますように、ですね?」
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