第6話 美しい青春と家族愛、すべてはまがいもの
その赤ん坊──女の子は不思議な力を持っていたため、何者かによって常に操られていた。彼女の意思に潜む寄生虫達が、彼女を地獄に落としていく。
寒い冬の中、幼稚園に通う彼女は友達の子供と、かまくらを作っていた。雪の妖精来るかな?来るかな?
ピアノの時間に遅れた彼女は、母親に頬を打たれ、二度とその友達と遊ぶなといわれる。ピアノ教室の豪華な家には冷蔵庫があり、母親は中、覗いたら?と言う。女の子はママの言うことだからと覗いてしまい、優しいピアノ教師の信頼を失う。
女の子はやがて小学生になる。女の子は頭が良く、3歳で、あいうえおの読み書きが出来、学校の授業はいつも楽勝だった。友達にも恵まれ、遊びのリーダー役になることもあった。クラス札に皆で雑巾をぶつけあい、怒る先生を尻目に皆で笑った。母親は盗みをする子供と仲良くしなさいという。盗めよ。簡単だろ?自転車の籠には女の子の大好きな焼いたお肉があった。手慣れた子供はさっさと盗み食いをし、誘われるが、彼女はこれは悪いことなのだと自制を保つ。幼稚園のキリスト様は、神様は悪いことをいつも見てるって。
やがて引っ越しし、母親の手引きでいじめが流行っている小学校に行くことになる。キモイ。無視しようぜ。石を投げられ、女の子は、わたしが悪いんだ、悪いんだと思うようになり、なんとかこの境遇を脱出すべく、猛勉強するようになる。
僕、山崎っていうんだ。よろしくね。出会いは──うまく思い出せない。その少年は他の児童におちょくられていたが──いじめられているわけではない。初めての男友達とやるゲーム。私の方が強いんだぞ!みんなとの班行動。花いちもんめ。女の子は少年の家の、少年と妹が撮影されている写真を見て、お前妹と結婚するんだろ?ギャハハと笑う──私と結婚すればいいのに──そう思った彼女の思考は周囲にすべてただもれなのだ。彼女はそれをまだ知らない。それを知ってる少年は照れ、少し怒ったふうに、違うよ違うよと言う。今度班のみんなで僕の家に泊まらない?と性的な意味ではなく、単に遊びたいという理由で少年は言う。女の子は、男と女でしょ!ダメだよ!と、意味もわからず言う。少年は別に楽しいからいいだろ!と男の子は言い返す。
彼女は夢を見る。刑務所の一室で山崎と抱き合う夢を。実は山崎はテレパスなのだ。テレパスの力で彼女の夢の中に現れた。彼女も同じテレパスの能力をもっているのだが、あやつりの力で、嘘の情報で騙そうとする友達ばかりできていくことになる。地獄はそろそろやってくる。
山崎と違うクラスになった彼女はまたいじめられることになる。仲が良かった昔の班のメンバーにも、また無視される。運動会の中、孤独な女の子に、山崎が近づく。お前あのゲームやった?面白いよな。ほんだららったへんだららったどんがらがった ふんふん~ 。山崎どこ行くのかな、中学校。唯一彼女を無視しなかった、昔の班の女の子──彼女もいじめられっ子なのだが──はそう言う。治安の悪い中央中学校だって。別れ別れだね。山崎はいつも言っていた。お前は元江別だよな。俺は見晴台なんだ──中学校は別れ別れだな──。女の子は彼の真意を知らない。別れたくないと言うことを。中学校にあがった彼女は犬の散歩で、いつも山崎と遊んだ近所の送電塔の近く、ダムに寄っていた。いないだろうか山崎は?やがて高校生になり、いじめられっ子の友達は山崎はガソリンスタンドでバイトしてるって、と言う。しかし犬の散歩、親の車で何度よっても山崎は現れなかった。
女の子は山崎のいない間、ゲームをしていた。それは見るものによって物語が変わる不思議なゲームだ。女の子はそのゲームの美しい男に、恋をした。彼女は夢を見た。飛空艇の中で彼は言う。やあクラウド、私はヴィンセントと言う。君のおかげでルクレツィアと結婚だよ。女の子は夢の中で、彼が住んでいる城の古びた棺桶を勝手に開ける。何しに来たんだ。ルクレツィアもそう言う。わははルクレツィアの奴ファザコンじゃん。ヴィンセントのお父さんの方が好きな癖に。こらこら何を言ってるんだ。子供は早く帰りなさい。それとも私と一緒にいたいのかな?とヴィンセント。うん。と女の子は言う。私が君を呼んだんだ。君は私のことが好きだろう?私もそうだ。
苦しい、身体が変。むずむずして、勉強に集中出来ない。
彼女の親が、彼女の幼い性欲を操り、彼女の春を売ろうとしている──そのことを察知したヴィンセントは女の子にBLを勧め、14歳の彼女を夜眠っている間に抱いた。女の子はそのことを知らないが、落ち着いて勉強し、進学校に行くことになる。
進学した大麻高校は規則は厳しいが、いじめはなかった。授業も、江別の学校のようにうるさく、妨害されることなく、きちんと受けられるようになった。よかったここにはいじめはない、と女の子は安心した。
学祭、彼女はクラスの旗を作ることになった。──もっとも、最初に立候補したリーダーがあまりに無能だったため、それを奪ったのだが──女の子はアルフォンス・ミュシャの黄道十二宮の旗を提案。彼女は隊を率いて仲間と旗をつくりあげた。仲間──永遠の感情機関を、彼女は手に入れた。もう、ゲームはやめようかな?仲間もいるし。ヴィンセントは少し悲しそうだ。
高校生になって彼女は小説を書くようになった。小説を書くクラスメイトがいたので、それを越えようと思っていた。しかしこのクラスメイトはナルシストの挙句、嫉妬深いことを隠していた。
しかし男のホモソーシャルだけでなく、女の嫉妬もやがては彼女を地獄に落としていく。クラスメイトの天使たちは言う。私たちはあなたとずっと一緒に居れない。けれどそんな悪魔のクラスメイトと付き合うのはやめて。操られて利用されるだけだから。
いらっしゃい!いらっしゃい!女の子は学祭で文芸部の部誌の売り込みをしていると、大量の人達がやって来た。部の先生も、同じ部屋で呼び込みをしている、イラスト研究部も喜んだ。
男のクラスメイトが好意を持って女の子に寄ってきた。彼女は夢を見た。自転車の後部座席に乗って彼と帰る夢を。スクールカースト上位の嫉妬深い女の子たちも彼女の思考や夢を盗み見ているため、どうやって女の子を潰そうか相談していた。また、母親は彼女の結婚相手に、無能だが金を持ってる某大学の教授と契約していた。母親がその教授と寝ていたのもある。
あなたの視界に男の子が入ってるでしょう。彼は付き合ってるのよ?略奪愛略奪愛。彼女は目を潰された。女の子は男の子に謝った。気なんてないと。それでもまだ視界に入ってる、あの子たちは真面目に付き合ってるのよ略奪愛ね。女教師もそういった。クラスメイトの天使たちは怒った。それでも事態は変わらなかった。女の子は最初から思考を読まれている。彼女をそうした政治家に逆らうのは高校生や高校の教師には出来なかった。
女の子は山崎に電話した。うふふ。ちょっと待っていてね。と嬉しそうに山崎の母親は言う。しかし頭の中の、彼女の思考を読む寄生虫達、悪魔達が電話をやめさせる。略奪愛だってカワイソーにゲラゲラ。女の子の姉は笑い出す。家族も。
世間は女の子を許さなかった。それでも女の子は勉強した。もう私に青春は訪れない。
高校の帰り、イラスト研究部の女の子が彼女を抱きしめる。女の子は人間だと。
ここは大学だ。教授達は、先行研究や本を何十冊も読むように女の子を仕向けた。なかなか論文が頭に入らない。変だ。教授達は寄生虫で、女の子の考えをパクっていた。
ヴィンセントはインターネットのFF7のサイトで官僚が運営しているサイトを女の子に紹介し、防御を固める。
女の子は部活は高校の時と同じ文芸部に所属した。彼女の小説の中には、ヴィンセントがこっそりと入り込んだウル。出版社の腕利き編集のネルーが登場人物として現れた。女の子はそれを知らない。ここにも天使と悪魔がいた。文芸部長は天使であり、女の子が提案した、学祭は休憩所にしようという提案が楽だと喜び、悪魔が部を乗っ取ろうとしても、女の子の、その部は今活動してるの?と言う提案で部を守ることができた。女の子は次期部長に推薦されたが、悪魔ばかりのその部の部長はやりたくなかった。天使の愛が壊れてしまった。代わりに部を乗っ取ろうとした悪魔が寄ってくる。その悪魔は教授達と同じように彼女の思考や意見を乗っ取り、さも自分のアイデアだと自慢した。そして、部長のことを石みたいだと罵った。女の子は石の女神だなんて素敵だな、と思った。彼女は文学部でテリー・イーグルトンを扱う授業を受けたが、精神批評分析も構造主義批評も習わなかった。それでも自己流のフェミニズム批評で戦った。
幸田文さんは、夫が金持ちのままだったら、大丈夫だったんだよ。君は夫のことを悪く書きすぎ、儒教を参考にしなさい。
どうして女の嫉妬で卒論を書かなかった?
死にたい死にたい死にたい。
女の子が、地下鉄に乗ってると、不思議な男の学生がいた。地下鉄の席で、女の子にぴったりとくっついている。2人はフェミニズムの夢を見た。今はさようなら、僕たちはまた出会うよ。ふふ。
他の天使が現れる。あなたは死にたそうに見える。大丈夫?ここは女子大だから、教授のことを好きにさせようとしてくる。(あなたの場合、親に操られてるけどそれは言えない。)私の女子校もおかしくなる子が多かったから。就職先を紹介してあげる。
大学を卒業した女の子は県立図書館に非常勤で勤めることになった。最初の図書館では、お茶汲み、新聞の受入や整理、配架などの雑用を行なっていた。女の子は職員のおばさんやおばあさんが、パソコンを使っていることにまず驚いた。家族はパソコンなんて使えないからだ。そしてここは男女平等の図書館で、女性でも部長になれた。
直属の上司のKさんは女の子の心に語りかける。ようこそ。待っていたわ。悪魔に目を潰されたのね。あなたはJRや地下鉄では、おばあさんや女の人の近くの席に座りなさい。それと、早くスクエニに行きなさい。ヴィンセントがいるわ。それと、他にもここを訪ねる不思議な男の大学生がいるわ。あなたはまだ地獄の底には落ちてない。大丈夫よ。
次の勤め先は市立の図書館だった。図書の貸出・返却業務・配架整理などのカウンター業務、児童ルームの飾り付けを行った。図書館にはホームレスも来るし、いい図書館だと思った。児童ルームの飾り付けは楽しかった。しかし彼女の仕事は、少し、遅かった。もう図書館はだめかな。向いてないのかな?あなたは悔しくはないの?見返したくはないの?天使はそういうが、彼女は契約期間が満了し、辞めることになった。
次の仕事が決まるまで、彼女は職業訓練を受けることにした。司書はダメだな。漫画や小説やゲームの業界に入りたい。
なんとなくパソコンで、ネットサーフィンをしてると、とあるサイトの編集者が彼女の頭の中に話しかけてきた。彼女は、高校時代のイラスト研究部の影響で個人サイトを持っていた。まだ個人サイトが全盛の時代だ。
こんにちは僕は編集のTと申します。あなたの原稿、「星の都」読みましたけど素晴らしいですね。
やめろ。彼女に触るな。彼女はこの原稿でスクエニに行って、私と結婚するんだ、とヴィンセント。
その漫画の原稿はS社のもの。君、漫画家になりたいって、日記に書いたよね。もう契約は完了だよ。
私はガンガンがいいです。と彼女。
他誌に持っていかれるくらいなら潰そう。君の真実を見せてあげるよ。君はサトラレだってね。どこに行っても無駄だよ。君にはあやつりの輪がついているのだから。
突然、彼女の人権がなくなった。まあ、元からないのだが。S社の編集長は5ちゃんねるに彼女を呼び出し、編集者と漫画家達に彼女の個人情報をペラペラ話させて叩かせた。嫌だったら原稿持ってこい。君の人権なんて、それでも治らないけどね。日本は盗撮好きが多くて助かるよ。
いいからその原稿をガンガンに、とヴィンセント。そしてどうして新卒の時に私はスクエニに行くよう言わなかったんだ。とんだミスだ。まだ逃げ道はある。私がヒントを言うから──ところが家族がヴィンセントの手を使わせない。子供の頃と同じように。何?急にインターネットのプロバイダ変えたい?ダメだよ。パパがダメって言ってるからね。家族はS社と高級料理を食べ、いくらで彼女をS社に売り飛ばすか相談していた。大学生の時の悪魔も、人権がない?でもあなたのパソコン、数学が得意な弟に見てもらったけど何にもないよ、高校の時の悪魔もそう言う。
こんにちは私は岡田といいます。私は小夏、(人権ないことは)気にしないで。次の図書館は大学図書館だ。この図書館の室長は無能で、経験豊富な岡田さんが図書館を直していた。小夏ちゃんは女の子と同じ大学出身で、女の子が図書館のアルバイトの時、正規の職員として働いていた。とても美人だ。
彼女は夢を見る。岡田さんと小夏ちゃんがお城の前のテーブルで、紅茶とケーキを食べている。こんにちは、岡田です。私は死神ですが、あなたを案内してあげます。次行く図書館は地獄ですが、『彼』があなたを待ってます。私は元々あそこで働いていました。あそこはまだ素晴らしい学生が沢山います。あなただけの宝を、見つけなさい。
仕事が遅いと言う理由で彼女はクビになる。こんな室長よりはるかに仕事ができるが、岡田はあえて他の図書館に彼女を案内。しかし彼女のことを育てたかったのもあり、小夏ちゃんと共に悲しみに暮れる。
次の図書館も大学図書館だ。母親はなぜか大喜びだ。ここの図書館の悪魔との結婚が決まっていた。
最初は、いい図書館だと思った。若い非常勤の女の子たちにも恵まれ、上司も優しい。あなたって大学のサークルの部長さんみたいだね、と彼女は上司に言う。上司は彼女に恋をした。上司は愛情を注いだ。ろくに愛情を与えられなかった彼女の中の押さえつけられていた人格、ひよこが現れる。ありがとう。上司は照れる。君は何もできないのだから僕を頼れ。
しかしそこは悪魔だらけの図書館だった。若い図書館の男が、彼女を狙って、上司から取ろうとする。彼女の魂に住むローズが現れる。私はS社に囚われし者、誰か私を助けてくれる強い男はいないかしら。彼女から強力なフェロモンが現れ、男たちをあっさりと支配する。
お、お前はなんてことをするんだ!上司は怒り狂い、彼女にせまった若い男も途方に暮れる。あはははは。とローズは笑う。
またね。彼女の中のひよこが答える。
上司は図書館の悪魔に、遠い僻地へと飛ばされる。ひよこが苦しそうに彼を追いかける。仕事をサボって何しにきたんだ。言わなかったっけ。僕にはガールフレンドがいるんだ。ひよこ君は泣き出す。略奪愛略奪愛。あのガールフレンド可哀想。なんかあの女のせいで人権なくなったんだって。ま、嘘だけどね。世間は信じるから、ここの地下で回せるようになるまで待ちましょう。
ここには女衒がいた。彼女に迫った若い男も真似をした。
派閥といじめばかりでろくに仕事をしない──そこはもはや図書館でもなんでもなかった。
そこに1人の男が現れた。神の後光を背にする者。派閥の中で略奪愛、上司のガールフレンドを命令でDVさせている酷い女王(そんな事実はないし、命令を出しているのはガールフレンドの方で、この図書館もそれを知っているのだが)彼は奇妙なターンで訪れる。眉間にシワを寄せる彼。女の子は彼にごめんなさい!といつも言う。図書館で比較的まともな別の上司が興味深そうに見ている。君は木だね。別の若く美しい研究者がそう言う。ねえ、そっちの木とか言ってるやつにしろよ、と姉は言う。前者は天使で後者は悪魔。急げ!時間がないぞ!
全ての疑いをかけられ、すっかり悪魔に囲い込まれた彼女に、後光を背にする男が、最後に現れた。2人は図書館の中で踊った。彼はついてくるように言うが、彼女の中で、もはや彼女の身体中に寄生する悪魔と姉が止める。
そう──僕とやるのか。天使は容赦なく殺す。
・天使は容赦なく殺すに続く。
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