未完のみずかんフレンズ

みずかん

ピアノ

生まれつきの才能というのは、

初めてその物に触れた時に気づく。


奇妙な巡り合わせだった。


ごこくで古い館を見つけた。

私たちはその館を興味本位で探検していたのだ。

その一室で面白い物を見つけた。


それは“ピアノ”だった。



アライさんは、バンバン叩いて面白がってた。

かばんさんは意外にも難しいなって苦笑いしたかな。


なんかみんなの前じゃ、ちょっと気恥ずかしくて

触らなかったけど・・・


その館の近くで今日は休むって言ってくれたから、よかった。

気になってたから。


皆に気づかれない様に、この館に来た。


私は、月明りに照らされた部屋で目を瞑り、

本能のままに、鍵盤を押した。



微かな風に乗り、夜の森に音色が響き渡る。



私はその音に自惚れしていた。


古びた低音が、耳に良く聞こえる。



夢中で、ピアノを弾いた。



「あっ!フェネック!!」


声を唐突に掛けられ後ろを振り向いた。

弾くのに夢中で、気付かなかった。


「サ、サーバルかぁ・・・」


ほっと息を吐いた。


「ごめんね!驚かしちゃって・・・」


「いや、サーバルは悪くないよ・・・。ちょっと私が無防備だっただけで・・・」


「あはは・・・、えっと、ピアノだっけ。凄い上手だね!」


「あ、ありがとう・・・」


「もっと、聞きたいな」


「えっと・・・」


「聞かせてよ!」


彼女は笑顔でそう私に依頼をした。


きっと彼女も耳の良いフレンズだから、

私みたいに“音”が好きなんだろう。


「いいよ?」


断る理由も無い。

私はまた、ピアノを本能のままに弾いてみせた。


サーバルの様子は見えなかったが、

きっと心地よく聞いているだろう。


私が満足するのだから、彼女も満足するはずだ。


私はキリの良い所で一旦演奏を止めた。


「やっぱピアノっていいねー!」


「そうだね」


サーバルの笑顔に対し、私もつられて笑顔を見せた。


「あっ、そうだ!私に教えてよ」


「ピアノを?でも、私適当に弾いてるだけだし・・・」


「なんとなーくわかればいいよ。かばんちゃんに聞かせてあげたいんだ!」


「じゃあ・・・、上手く教えられるかどうかわからないけど・・・」


「やった!!」


彼女はそう言って小さな椅子の隣に無理矢理座った。

今思えば、彼女とこんなに近づいたのは初めてかもしれない。


教えてる最中、手が触れた。

彼女の手が温かいのが意外に感じた。


――――――――――――――

《作者より》

ここで行き詰りました。サーバル×フェネックのサーフェネ作品を書こうと思い、

フェネックがピアノが思ったより芸達者でこのあと恋愛関係に近づく的な構成だったのかな?かなり前に書いた作品なので、自分もなんて書きたかったか忘れました。

ということで、斬新な事にチャレンジした結果、お蔵入りしました。合掌 (-∧-)


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