蠱意と毒

夢咲零於

　ここは地球とは遠く離れた場所で、地球も認知していない星。『イシスローディア』という星だ。この星は、地球より科学技術が発達していて、地球(この星の遥か遠くにあるが、[望遠鏡]などでは到底見えない星だ)の存在も知っていて、現在その星へこの星の【調査員】を派遣し、詳細を調べている。

　しかし、地球はまだこちらの事は知らないようで、我々宇宙人(少なくとも地球の人々はそう言っている)の存在を探している最中らしいということを、最近の調査報告からのニュースで知った。

　この星の科学技術は発達しているが、ほとんどライフスタイルは変わらないらしいことも、生えている植物が同じだということも(もっとも、呼ばれ方は違うようだが…)調査報告で当たり前のように知られている。

　私が地球のことに詳しいのは、私が一度、調査員として地球に行った事があるからだろう。調査員として二年間、その星に滞在した。殆ど違う点はないが、流石に違う星のため、いくつかは違う点はあった。地球は大きく、たくさんの大陸があるが、この星、イシスローディアには地球で言う、ユーラシア大陸程の大きさの大陸一つと、太平洋より少し小さめの海洋しかないのだ。

　あと一つの相違点はというと、地球には、カニバリズム、人身売買、そして殺人をタブーとする平和な思考があるということだった。