帰り道の問い
「何でよ!!何で補講があるのよ!!すごい恥ずかしかったのに!許さないわ!!」
ルカが恥ずかしさ半分、怒り半分といった表情で真っ赤になってじたばた暴れている。
作戦失敗後、千秋とルカは帰途についた。
しかし、ルカはこれではユキに合わせる顔がないと言って寄り道をしだし、結局いまは学園を囲む市街地をうろうろしながら千秋は買い物に付き合わされている。功労者なのに自分には顔を合わせられるのかと千秋は内心怒ったが、ルカが割とへこんでいたので仕方なくついていくことにした。
ルカは洋風やら和風やら中世風やら色々な住宅がごちゃまぜになっている街並みをずんずんと肩を怒らせて歩いている。でも本人もかなり勇気を出したのだろう、ある程度はしょうがないのかもしれない。千秋もこの間七瀬さんに声をかけられなかったことを思いだしながら、ルカの背中を追った。
追いついて声をかけようとすると、ルカは真っ赤な顔できっ、と千秋をにらんだ。が、その顔はどこか少し寂しげで、本当にルカが落ち込んでいることをのぞかせた。
ここは励ました方がいいのかもしれない。
「ルカ、まあ今回はしょうがないよ。週末にそんな補講があるなんて知らなかったわけだしさ。それより次の作戦、考えようよ」
千秋がそう言うと、ルカは長いまつげを物憂げに下げて、こくん、と小さく頷く。その仕草はいつもの気が強いルカからは想像もできないほど儚げで、思わず千秋はどきっとしてしまった。気の強い女の子が急にちょっとしおらしくなるとキュンとしてしまうのは、男の悲しい性なのだろうか。すっかりしょぼくれて金色の髪がさらさらと風に揺れているその姿は、まるで映画のワンシーンのようで、千秋は自分の小説が映画になったらこんなかんじなのかな、とつい見とれてしまった。
「ねえ!!聞いてる?!」
一瞬映画のセットにいたような感覚にとらわれていた千秋は、ルカの声によって引き戻された。
「ねえ、千秋聞いてるの?だからこれからの話なんだけど」
「あ、あぁ、ごめん。聞いてるよ」
「それでね、これからどうすればいいかなあ」
いきなり放り出されると困る。うーん、と千秋は考えてから、ふと、ずっと気になっていることを聞いてみた。
「ねえ、ルカ」
「うん?」
「ルカってさ、ニールとどうなりたいの?」
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