125.アントレ侯爵撃沈
救世主が現われた。
その名はリーゼ・アントレ。
そう言わずと知れたアントレ侯爵の愛娘である。
部屋に充満していたアントレ侯爵の殺気が一瞬で霧散した。
「リーゼよ。会談中にいきなり入ってくるなと言ったであろう。」
アントレ侯爵は今までの憤怒の顔が嘘のようにニコニコ顔である。
「それは分かっていますが報酬の話だけなのに長過ぎて待ちくたびれました!ソラ様の欲する報酬は悩むようにものでは無かったはずですよ。私もソラ様とお話したいのです。早く終わらせて下さい!」
「リーゼそうは言っても貴族は簡単に要求を呑むわけにはいかないんだよ。」
いやいや、今までずっと尋問をしていて一切報酬の話なんてしてないでしょ?
「何を言っているんですか?街をコックローチから救いその上侯爵の娘を救った人物に対して報酬を値切るなんて行為はとても貴族することとはとは思えません。その上ソラ様の要求はただ魔道具を見てみたいと言うもの。何を渋る理由があるのですか?」
リーゼちゃん、そりゃアントレ侯爵はまだ俺の要求を聞いてないから分からないよ。
話が終わっていない理由付けで言っているだけだしね。
「それは、あれだ。貴重な魔道具もあるから見せる魔道具と見せない魔道具を決めている途中なのだ。」
アントレ侯爵の言い訳も苦しい内容になっている。
「我が家には外部に秘匿しているような魔道具は無かったはずです。それに今御見せできるのは逃げ出した貴族が置いていった魔道具だけです。」
ニコニコ顔だったアントレ侯爵もタジタジになるリーゼちゃんの口撃。
「そ、それはそうじゃが、貴重な魔道具があるのじゃよ。」
「それこそおかしいです。おかしいと言えばコックローチ討伐の報酬もです。ファルスの街の被害を軽微に収めてコックローチを討伐した報酬がたったの金貨10枚だそうですね。ソラ様がおらずにコックローチにこの街が襲われていたらコックローチの討伐とこの街の復興にいったいいくらの時間と資金が必要だったのかお父様は分かってらっしゃるのですか?最低でも金貨100枚は差し上げるべきなのに!」
なんかアントレ侯爵の顔が若干青くなってるような・・・。
あ、もしかして王国からの支援金が少ないのかな。
王国の懐事情を明かすわけにはいかないのかアントレ侯爵が何も言わなくなった。
「お父様がそのようなことをするなんて幻滅しました。ソラ様。私が案内しますので魔道具を見に参りましょう。」
リーゼちゃんが俺の手を取ってくる。
良いのかなアントレ侯爵を置いて部屋を出て・・・。
「リーゼ待つのじゃ、おまえが案内する必要はない。セスすぐに案内するのじゃ!」
「セスとお父様にはソラ様への正式な報酬をどうするのか決めていただかなければいけません。それにこれは助けていただいた私が案内するのが礼儀であると考えています。これ以上はお父様とお話することはありません。」
アントレ侯爵が腕を伸ばしたまま固まってしまった。
セスさんが部屋の扉を開けてくれた。
これは俺が退室しても良いと言う事なのだろう。
リーゼちゃんのお陰で命拾いしたけどアントレ侯爵は大丈夫だろうか?
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