120.パッシーの愚痴

使い魔にご褒美のチョコを約束にしてリーゼちゃんの護衛に送り出す。




飛行レベルが上がったパッシーがスイスイと空を飛んでいく。


「ブヒブヒ」(主も使い魔使いが荒いよな)


(ソンナコトナイヨ)


「ブヒブヒヒ?」(イヤだって俺って全く戦闘タイプじゃないじゃん?)


(ウン、ダカラ ヒトリデ タタカウコト キョウセイ シナイ)


ポックルが言っていることは正しいが、正しいんだが・・。


「ブヒブヒブ」(そうだけど実際俺らだけで敵陣に潜入してるじゃんか。)


(シカタナイ トベルノ パッシーダケ ノレル ボクダケ)


「ブヒ」(まぁ、分かってはいるよ。ただもっと楽したいって願望を言ってるだけだよ)


(ソッカ マドダ ナカミル)


「ブヒヒブヒ?」(オッケー、どれどれ・・・。ああ、あの子がリーゼだな。ポックル窓開けれるか?)


(デキルヨ)


ポックルは竜樹魔法で窓枠の木に干渉して入口を作り出す。


「ブヒヒ」(さすがポックル)


パッシーとポックルは窓枠付近に開けた穴から部屋の中に侵入した。


「誰!?」


リーゼは急に部屋に入ってきたパッシーとポックルに驚いて声を上げた。


「ブヒブヒ」(見張りに気づかれるぞ。)


(シズカニ ミハリ キヅク タスケニキタ)


「え!パッシーちゃんにポックルちゃん。」


「ブヒブヒ」(声がでかいぞ)


(シズカニ)


リーゼは慌てて両手を当てて口を閉じた。


部屋の外からは何も反応がない。


どうやら見張りには気づかれなかったようだ。


「ブヒ~」(よかった~)


(アルジツイタヨ)





ポックルから連絡が来た。


無事にパッシーちゃんを保護したようだ。


「アンさん、ポックルからリーゼ様保護の連絡が来たので行きましょう。ジンは雷魔法で相手を気絶させてくれ。それから俺達が家に入った後でこの付近から遠ざかるように逃げる気配がないか探るのも忘れずに。アンさんは気絶した相手の捕縛をお願いします。」


俺も≪魔力感知≫でほかの空き家に人攫いの仲間が居ないか注意しておく。


それにしても≪冷静≫さんのお蔭かこれから人を殺すかもしれないのに落ち着いたものだ。




俺とジン、アンさんは目的の建物の前にやって来た。


俺は閉まっている扉を思いっきり右足でぶち抜いた。


『ドガーン』


扉が男を一人巻き込んでぶっ飛んで部屋の壁にめり込んでいる姿が見える。


アレ?


おかしいなちょっと扉が吹っ飛ぶくらいだと思ったのに・・・。


俺の想像以上に身体能力は上がっていたようだ。


わざとじゃないんです、わざとじゃ。


ジンは呆れ顔でアンさんは驚いて顔で俺を見ている。


「ソラなんで扉を普通に開けずに蹴ったんだ?壊れて扉が閉めれなくなるぞ。」


あれ犯罪者のアジトに突入するときは扉を蹴破るものじゃないの?


これはどうやって誤魔化そうかな・・。


「あれだよ。先制攻撃みたいなものだよ。予想もできない行動をして相手の対応を遅らせるためにやったんだ。」


あ、ジンは信じてないな。


「ソラ、それなら先に言っておけよ。俺まで反応が遅れるだろ。前にも言ったよな?」


う、返す言葉もございません。


「ごめん、俺の中では当たり前の行動だったんだ。」


「ソラ、次は気を付けるんだぞ。」


これじゃどっちが主か分からないな。


「はい。」


ジンに説教され、アンさんに笑われながら扉を蹴破った入口から建物に突入した。

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