113.あまりの切れ味に
この《プログラム・断絶》は理論上どんなものでも切断できる。
その代わり幾つも弱点がある。
まず弓に比べて射程が圧倒的に短いので慣れない接近戦をしないといけない。
魔法で刃をいくつも作って飛ばせば良いじゃないかって?
それが出来れば苦労しない。
《断絶》は一分子を結合した刃なのでとにかく脆い。
ちょっと小突いただけで砕ける。
だから相手に当たっても切れずに刃のほうが砕けるのだ。
それじゃ接近して切っても砕けるだけで意味がないと思うだろうが解決方法は一応ある。
あくまで弱いのは横からの力であって縦からの力はその限りではない。
つまり切りたいものに対して直角に刃を通せば縦方向からしか力が加わらないので折れることなく切断できると言うわけだ。
しかし動いているものに対して直角に刃を通すのは不可能に近い。
それを俺は《プログラム・空間魔法》で対象を正確に把握し《プログラム・条件》と《プログラム・ベクトル操作》で補助をさせることで何とかする。
狙うは首だ!
激しく動く四肢は論外だし、胴体を多少切っても致命傷には程遠いからだ。
俺の実力ではチャンスは有っても一度切りだろうから一撃で決めないとダメだ。
炎の弾丸を避けながらひたすらチャンスが訪れるのを待つ。
俺が何かを狙っているのを感じたのか炎の弾丸による俺への圧力がさらに高まる。
結界による防御が増え魔力の残りも乏しくなってくる。
こうなったらカウンターを狙うしかない。
ドラゴンが俺への一撃を放った直後一瞬でも動きが止まればそれがチャンスだ。
いつまでも纏わり着く俺が鬱陶しくなったのかついにドラゴンが炎の弾丸に加えて更なる攻撃手段を仕掛けていた。
爪の斬撃はジンに対して今も行なわれている。
つまりお約束のドラゴンテイルによる一撃が俺に迫って来た。
ドラゴンの首を切るためにはこの一撃を避ける余裕も受け止める余裕もない。
なので仲間の力を借りる!
「ポックル!守神化でドラゴンの尾を防いでくれ!」
(ワカッタ)
ポックルはすぐさま《守神化》を使かった。
大きくて頼もしい姿に変わったポックルは真正面からドラゴンの尾を受け止めた。
ドラゴンも自分の一撃を受け止める存在が突然現われたからか驚いて一瞬動きが固まる。
このチャンスを逃すのもか!
俺はジンのように《天駆》を使えない!
しかし俺には《プログラム・空間魔法》がある!
今まで失敗することが不安で空間把握でしか使ってなかった《プログラム・空間魔法》による短距離転移を使いドラゴンの首元へ転移。
《プログラム・結界》で転移先に足場を作り《プログラム・空間魔法》と《プログラム・ベクトル操作》の補助に従って一気に《断絶》を振る抜く。
しかしまるで空気を切ったかのように何の手ごたえも感じ無かった。
《断絶》は重さを感じぬほど薄いが確かに手元には砕けることも無く自分の存在を誇示するかのように光を反射させている。
俺は自分の放った一撃がもたらした結果を確認するべく顔を上げた。
そこには今だドラゴンが健在していた。
ただなぜか炎の弾丸の嵐は収まりドラゴンは微動だにしていない。
ジンも急に動きを止めたドラゴンに困惑しているようだ。
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『パリーン』
自分の役目は終わったかのように《断絶》は砕け散ちると同時にドラゴンの首元に朱色に一文字が現われた。
あれはどうやら血の赤色と理解するとそれが合図かのようにドラゴンの首が地面に轟音と共に落ちた。
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ピコーン
ソラは竜殺しの称号を獲得しました。
ソラは竜殺剣技を獲得しました。
竜殺剣技と弓道を使用して古武道を獲得しますか?
(Yes/No)
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