108.ファイヤリザード

ポックルの作った岩壁の後ろに隠れてすぐにリザードの一団は《爆弾ボム》罠を仕掛けた場所にやって来た。


『TYDOOOOOONNNNN』


大音量が迷宮内に響き渡る。


≪防音結界≫を作っておいてホントによかった。


もし作ってなかったらまた鼓膜が破れるところだったな。


「ソラ、前より音が小さくなっているけど大丈夫か?」


ジンが爆発音が小さくなっているから破壊力が下がっているのではないかと心配している。


「寧ろ前より威力が上がっているはずだよ。」


ポックルに頼んで岩壁を元に戻してもらう。


通路の先の罠にかかったリーザードの群は予想通りオーバーキルだった。


リザードは5匹とも見るも無残な姿をさらしている。


何となくリザードの形をしているのが分かるだけで素材は全く取れない状態だ。


ファイアリザードは上位種である分頑強でそのうえ熱に強いお陰かさすがに即死することなくまだ息をしていた。


まぁ、ほとんど虫の息だがな


「ソラ、またやり過ぎたな!戦う相手がいないぞ!」


戦闘狂のジンがご機嫌ナナメになってしまう。


うんゴメンね。


始めからオーバーキルだとは思っていたんだ。


「ゴメン、次は《爆弾》の数を減らすよ。」


虫の息のファイアリザードに止めを刺して奥に進む。




その後ファイヤリザードが単独で現われたのでジンが一人で相手をしてもらった。


ファイヤリザードはジンが接近すると体に炎を纏わしてその熱でジンを接近させないようにしてくる。


それに対してジンは魔闘気風雷で自分の周りに風の膜を作って炎を防ぎながら一瞬で30メートルもの距離を詰めたと思ったらファイアリザードの右前足が吹き飛んでいた。


炎の熱から逃れるためにジンは一瞬で元いた場所に戻っていた。


右前足を失ったファイアリザードは大きな音を立てて床に倒れるが目が爛々と輝いてまだまだ死を受け入れてないようだ。


「GYOOOOONNNN」


大きな叫び声と共にファイヤリザードの周りに無数の火の玉が次々と現われる。


命全てを魔力に変換しているかのような膨大な魔力を使用してジンに次々と火の玉を浴びせていく。


しかし、《魔闘気(風雷)》、《幻影》、《偽気配》を使うジンには全く当たらない。


ついにファイヤリアードの魔力が尽き火の玉が飛んでこなくなるとジンは一気に距離を詰めて床に倒れたファイヤリザードの首を跳ね飛ばした。


「ソラ、今回はなかなか根性のある相手で楽しかったぞ!」


ジンのストレス解消になっているようだが俺が相手をしたら火の玉が鬱陶しくて余計にストレスが溜まるな。


戦闘狂おそるべし。


しかし、この階層は魔物が多いな。


10階層までの上層階層に比べれば少ないがオーガより頑丈なリザードの上位種が20階層のオーガより沢山いるのはちょっと難易度が上がり過ぎな気がする。


今まで誰も来ていない未踏破領域だから魔物が多いのだろうか。


このペースだと一日に1,2階層が限界かな。


「みんな今日はこの辺で帰還しようか。」


今までの探索速度が異常なだけで1日に2階層を踏破するのも十分に早い探索だ。


「おう、俺も腹が減ったからそろそろ帰りたかったぞ。」


「ブヒブヒ」(メシメシ)


(カエル)


みんなも帰るのに賛成を得られたのでこの階層の帰還魔方陣で迷宮を後にした。

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