102.まさにお宝でもこれじゃない・・・。

我らが特攻隊長ジンが何時ものように先陣を切ってオークナイトに襲い掛かる。


しかしこのレベルの魔物になるとジンのスピードについて行くのは無理でもキッチリ反応してくる。


ジンがオークナイトの右肩から左腰に目がけて切りかかったがオークナイトはその動きに反応してジンの斧に自分の盾を叩きつけようとしている。


このままだと吹き飛ばされないにしてもジンの体勢が崩れてしまう。


でもオレは迷宮でのジンの戦闘を何度も見て学習した。


オレなんかより戦闘センスが圧倒的に高いジンはオレが心配するまでも無いと。


そして大声で叫んでまたちょっと恥ずかしい思いを決してしないと。


案の定、今まさにジンの斧とオークナイトの盾がぶつかる瞬間にジンの斧が掻き消えた。


叩き付けようとしていた斧が急に消えたことでオークナイトは盾を突き出した勢いを殺せずにバランスを崩して無防備な体を晒している。


そんな大きな隙をジンが見逃すハズもなくオークナイトは首から血を噴き出して倒れた。


オークナイトとオークソードマスターがジンに襲い掛かるが完全にジンの動きに翻弄されて相手になっていなかった。


うん、ホント叫ばなくて良かった。


心配性な主になるとこだった。


オークレンジャーが放つ矢に対して≪防御炎≫に≪プログラム・風魔法≫で矢の勢いを殺す効果を追加した≪防御炎風≫を使用した。


力の強いオークの上位種なので今までよりも矢の貫通力が上がっているので炎で燃え尽きる前にこっちに届くかもしれなかったからだ。


もし届いても結界で防げるけど消費魔力が多いから使わないに越したことはない。


ポックルにオークソーサラーの相手を任せているが今回は口や鼻を塞いで呼吸の邪魔をするだけでなく口腔内と鼻腔内から植物を成長させることで脳への攻撃を追加させた。


おかげでオークソーサラーは魔法を発動することも無く倒れていく。


今回は15階層のゴブリンたちを相手にした時よりも余裕があった気がする。


ポックルがオークソーサラーの魔法を阻止してくれたことが大きいな。


癒しだけじゃなく戦闘力も高くなるとはやるなポックル。


逆に最近はパッシーの影の薄さに磨きがかかって来てる。


まぁ、パッシーは基本パシリだから戦闘はおまけみたいなものなので気にしないけどね。


戦闘評価はこれくらいにして宝箱の中身を確認しよう。


「ソラ宝箱はまたポックルに開けてもらうのか?」


う~ん、どうしよ。


初めはオレが開けても良いものが出てるよな。


「いや、オレが開ける。」


宝箱の中には金貨100枚が入っていた。


「ソラ、これって当たりか?」


金貨100枚ってことは1億かぁ。


すごい、すごい大金なんだが何というか。


珍しいアイテムほどの驚きがない。


不思議だ。


「うん、当たりのはずだよ。」


「ブヒブヒ。」(なんか違う感がハンパないな。)


パッシーに言う通りなので何も言えない。


なんかせっかく宝箱を開けたのにテンションも下がってしまったので今日はもう≪そよかぜ亭≫に戻ろう。


「明日は最終階層を目指すぞ。」


「ソラついにオーガが出てくるんだな!」


そうギルドの情報では21階層からオーガが出てくるだよ。


ジンはノリノリだけど大丈夫だよな。


まぁ、ヤバイと思ったら逃げればいいだろ。


≪韋駄天≫を使えば逃げれるだろうしな。

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