13.門番の対応がめんどくせぇ
大地を揺るがすオオガメに遭遇してから、さらに2時間以上歩いてようやく《エンド》の街の城壁が見える場所にたどり着いた。
城壁の見た目はレンガに似たもので作られている、元は薄い茶色だろうが、傾いた日の光を浴びて夕焼け色に見える。こっちも夕焼け色になるんだなあとどうでもいいことが頭に浮かんだ。
「はあ、ようやく街が見えてきた」
もう足がクタクタだ、運動不足のおっさんには厳しい道のりだった。
使い魔はパシリとしてしか役に立たないし、黒スーツの
やけにパッシーが大人しいな。
「ZzZzZz・・・。」
主を乗り物にしたうえに寝てやがる。
これは上下関係をハッキリさせないといかんな。
オレはパッシーをつかんで草原にたたきつけた。
ケガをしないよう柔らかい草の上に落としたのがせめてもの情けだ。
「グヒ!」
ちょとつぶれた感じの鳴き声がしたが大丈夫だろう。
「ブヒ!!ブヒブヒ」(イタ!!痛いぞ主。)
パッシーは飛び上がって顔の前で抗議をするが知ったことではない。
オレはそんなパッシーを手で押しのけながら歩き出した。
「主が苦労して歩いているのに寝ているからだ。」
そんなやり取りをしているうちに長い棒を持った門番が2人立っている小さな赤茶色の扉が見えてきた。
おそらく非常口みたいなものだ。
門番の人もこちらに気が付いたのか棒をいや槍だな。槍を向けてきた。
「そこで止まれ!」とりあえず言葉は分かるようでよかった。
スキルにあっても実際に会ってみるまで分からないしな。
刺激するのはよくないで歩みを止めた。
両手を上げるのが正しいのか分からないのでやめておこう。
テレビでよく文化の違いでもめ事が起こると言ってた。
また、どんな動作攻撃と勘違いされるか分からん。
ちょっと兵士の人を観察してみる。
歳は30前後だろうか、ファンタジーアニメに出てきそうな茶色い皮鎧を身に着けている。
体型は日本の標準に近いかな。特に目立った特長はないな。
「どうしてそんなところにいる」
適当なことを言っても絶対あとでボロがでるな。
むしろ何を言ったか忘れる間違いない。
だから嘘はつかないけどすべては話さない。
できるだけあっちが勝手に勘違いする方向で、営業の基本だな1年で辞めたけど。
「激しい光に包まれたら、いつの間にか草原にいて街を探して歩いてきました。」と下手に動かずに声を張って答えた。
「そこで飛んでいる奇妙な生物はなんだ。」
あ、気になりますよね。
「草原でなぜか懐かれました。敵意もないですし1人では心細かったので一緒にいます。」
うん、使い魔のことは言ってないけど、客観的にみたままの状況を話す。
「身分を証明できるものを持っているか!?」
う~ん、免許証はダメだと思うけど、これはありのままを言おう。
「おそらくここでは身分証にならないと思うがここに来る前に使っていたものがある!」
「では、それを投げてよこせ!」
刺激しないようにゆっくりとポケットに手を入れてアイテムボックスから免許証を出した。
まだアイテムボックスの希少性が分からないから一応隠しとこ。
ゆっくりと免許証を門番に向かって投げる。
「これでは証明にならんな、すまんが一度拘束して尋問させてもらう。」
拘束が解かれる条件を確認しておかないと。
「尋問をして自分に危険性がないと判断してもらえれば拘束は解除されますか?」
「もちろんだ。すまないが両手を後ろで組んで腹ばいになってくれ。」
うん、オレがいかに無害かをアピールしないといけないな。
ここはおとなしく指示に従おう。
腕を組んで腹ばいになると門番の人がこちらに歩いて来た。
「すまない、拘束するが動かないでくれ。動いたらこちらも強行手段をとらないといけなくなる。」
槍で刺されたくないので絶対に動かないぞ。
フリじゃないからな。うしろでガチャガチャ音がする。
*************
魔封印をレジストしました。
ピコーン
称号
解放者
スキル
解放Lv1
状態異常耐性Lv1
を取得しました。
*************
《安全地確保》さんがここでも仕事している。
まったくパシリしかできない使い魔とはえらい違いだ。
ついでに有用そうなスキルまで取得したし。レジストって黙ってればバレナイとな。
街に入るのにも一苦労だ。
ハァ、めんどい。
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