第1話 壁(35p)
白鳥さんに言われて、今西先生はガサガサ音を立てて慌てたように何かやり始めた。
今西先生の壁に隠れて良く分からないが、おそらく、机を片付けているのだろう。
「全く、心先生はこっちが気を付けてないと直ぐに机をちらかすんですから! いけませんよ!」
そう白鳥さんに叱られて、今西先生が「済みません」と小さな声で言う。
「もう、心先生、しっかりして下さいね。では、失礼致します。吉永様、おくつろぎ下さいね」
そう言って、白鳥さんは診察室を出て行った。
「吉永様、済みませんでした。お茶が冷めない内にカヌレを食べちゃいましょうか」
壁からヌッと現れたティーカップを受け取り、私はお礼を言って、それに口を付ける。
なるほど、美味しい。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます