第1話 壁(11p)

 地下のテナントは今西眼科医院だけの様だった。

 つまりワンフロア全部を今西眼科医院が独占している事になる。

 余計なお世話かも知れないが、ワンフロア丸ごと使っているとは言え、このビル自体、対して大きく無い様なのに、こんなに廊下に面積を使って、私には無駄にしか思えない。

 そんな事を考えながら廊下を進む内に、廊下の突き当たりに来た。

 そこには、重厚な木製のドアが有り、そのドアに、ドアとは不釣り合いな白色のプラスチックのプレートが取り付けられてある。

 プレートには、今西眼科医院別館と書かれている。

 私がドアノブに手を掛けようとすると、『こんにちは』と声がした。

 声のする方を向くと、ドアの横にモニター付きのインターフォンが有り、声はそこから聞えている様だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る