君と二度目の初恋
天川 夕
第1話 二度目の春休み
高校生活二度目の春休みが始まった。
僕は近所のコンビニでカップラーメンと炭酸水を買い、店を出た。
ここから家までは歩いて10分ほどで着く。自転車なら5分もかからないが今日は歩きたい気分だった。
僕の家は坂道の上にあるため、当然帰りは上りになる。
重たい足をなんとか持ち上げて前へ進む。一歩踏み出す度、指にかけたビニール袋がカサカサと音を立てる。
炭酸水が入っているから、あまり揺らさないよう、慎重に運ぶ。
まだ坂道の途中だが一度後ろを振り返る。
春らしい暖かい風が僕を追い越した。それに追いつこうともう一度坂を上り始める。
しかし、本当に長い坂だ。
上っても上ってもなかなか辿り着かない。距離にしたらあまり長くはないのだろうが上るとなると話は別だ。
不思議なもので、そうこう考えてるうちにいつの間にか上りきっている。
この坂は不思議坂と名付けよう。
不思議坂を上りきったら家はもうすぐそこだ。
僕は妙な達成感とともに玄関のドアを引く。ガタッと何かにひっかかる音がして初めて気がついた。
そうだ、鍵閉めたんだ。
ポケットの中からキーホルダーのついた鍵を取り出し、解錠する。
今度こそと思い切りドアを引き、中へ入った。
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