2話 転生魔王は混血
「どうしてこうなったんだろ」
ふぅと溜め息を付き、姿見に映した寝起きの髪をいじる。
盛大に転がったせいか、真紅色の髪の所々が跳ねていた。
菫色の瞳で自身の様子を見ると、なんてことはない。
俺はどこからどうみても普通の子どもだ。
丁寧に畳み込まれていたシャツを着ると背筋がピンとする。
そのまま少し澄ました表情で格好付けると、自分で見ても小生意気な印象を受ける。
普段自分を他人と比較することはないが、恐らく四歳にしては背伸びしているように見えるだろうか。
これが俺の今世の姿だ。
特段おかしなことはない。
ただ、今までに比べて非常に裕福な家庭に生まれ、この歳に至るまで平穏な時を過ごしてきた。
俺が特殊な生まれだと言うことを除けば、非常に恵まれた環境に置かれているのだと実感する。
耳のあたりの髪の毛をつまむと、髪の間から魔人と呼ばれる種族の特徴であるやや尖った耳が姿を見せた。
かつての魔王が生き、統括した種族である魔人。
そして、遠い昔魔人を差別し、未だ敵視する者も存在する普人。
今世の俺は、その混血だ。
はあ、と再び溜め息がもれる。
おそらく俺が混血である原因の一つは俺が作ったのだろう。
一部では混血は平和の象徴とも言われている。
まさか、俺自身がこういった境遇に生まれるとは思いもよらなかった。
これまで以上に目新しくまだ見ぬ未来は楽しみで待ち遠しいが、同時に不安をも感じるのだった。
しかし何故だろう。
その不安は、不思議とどこか懐かしく感じるのだった。
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