第2話

帰り道

今日の事を思い返しながらフラフラと自転車をこいでいると

あの古い神社の前に出た。


あの話、本当なのかな?


自転車を止めて、祠へ向かう。

小さな祠の扉をそっと開くと

本当に木製のコップが置いてあった。

まじか…



新月の夜中

僕はこっそり家を抜け出した。

お酒は家にあった日本酒を

水筒に入れてきた。

神社は真っ暗だった。

さすがに怖い。

ちょっと帰りたくなったのを堪えて

懐中電灯を持って祠へ向かう。

扉を開き、コップへお酒を注ぎ入れ

両手を合わせて拝む。

お願いします!出て来てください!


しばらく拝んでいると

コップの中のお酒がゾワッと波立った。


「はーい、呼びました?」


背後から声がして、驚いて腰が抜けた


「ひ、ひぃ…」


「呼んどいてなんだよ」


聞き覚えのある声だった。

「タ、タカシの兄ちゃん?!」

「眩しいよ!なんだ、オマエか」

「なんでタカシの兄ちゃんが…」

「縁結びのお手伝いをします」

「か、神様だったの?」

「そんなわけねーだろ。順番なの。

次の人の手伝いするって決まってるの。

自分の番が終わったら、次の人の手伝いするんだよ」

「そういうシステムなの?」

「そう」

「人力なの?」

「そう」

真っ暗な中でも

目の前って真っ暗になるんだね。

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