コップの中の漣

ぴおに

第1話

どうしても

あの娘と付き合いたい‼

そう想いながらもう半年。

同じクラスでよく話すし

チャンスはいくらでもあるけど…

もし、ダメだったらこの関係も終わるよね。

そう思うとなかなか踏み出せない。


「ねぇ、あの古い神社知ってる?」

「商店街の外れの?」

「うん。あそこ、縁結びの神社なんだって」

通学の車内で、どこかの女子高生が話しているのが聞こえた。

「新月の夜中に、祠の中にある木製のコップにお酒を入れて、出て来てください!って

お願いしたら、縁結びの神様が出て来て

縁を結んでくれるんだって」


まさか


どうせ都市伝説だろう。



昼休み

「この本、読みたいって言ってたよね?」

あの娘にクラス1のイケメンが話しかけた。

嬉しそうに話してる…

やっぱり、敵は多い。

夏休みまでに、なんとか告白したい。

付き合えれば、夢のような夏休みになる…

ダメなら地獄の夏休みだ…


あの娘が

非常階段で一人で本を読んでいる。

今だ。

僕は意を決して、非常階段へ出た。

彼女の前に歩みでる。

体が痺れて、歩き方がぎこちない。

あの娘が僕に気づいた。

「どうしたの?」

「あの…」

「?」

「何読んでるの?」

ギリギリのところで

声が裏返るのを抑え込むことはできたけど

告白は

できなかった…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る