キツチンの憎悪

キツチンが五月蠅うるさいのは、

あのはえが飛ぶ所為せいでせう。

それなら包丁ですぱりとって、

彼何色ともつかぬ蠅の血を、

夫の飯にでも混ぜ込んで、

たちまちくわせてしまひませう、

あはは、はは、はは……

・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・

浮気性の夫を持つたをんなは、

Iアイ・Tテヰのコンロの光と熱を背に、

まるで気狂ひのやうに笑つてゐた。

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