第2話 始動!助っ人部!!


 「.....」

 「.....」


 や り ず ら い!!!


 (だめだ、やっぱり無理だわこれ....)


 「.....」ペラッ


 この部活の部長である園咲蒼は、つい最近転入したばかりの人で、転入から数日後にこの部活を立ち上げたのだ。

 なぜ、この”助っ人部”を立ち上げたのかはまだわからない。


 ちょ、何か話してくれないと、マジでやりずらいんだが.....!


 「.....ねぇ」

 「うん?」

 「何か言いたいことがあるなら、言いなさいよ」

 「!?」


 え、ちょっとまて、何で?こいつもしかしてエスパーか何かか?もしそうだとしたら普通に怖いんだが...


 「で、何か言いたいことでも?」

 「それは...」


 「何か話してくれないとその...気まずいというか、やりずらいというか.....」

 「はぁ...まあ、あんたなら仕方ないわね。教室でもボッチだし」

 「...おいっ」


 この人今サラッと酷いことを言ったぞおい...


 「ごめんごめん、冗談冗談!」

 「ならいいけど...」


 そうして俺たちは色々と雑談などをし続け、気が付いたらかなり時間が経っていた。


 「それじゃ、もう今日は終わりにしましょうか」

 「そうだな、時間も時間だしな」


 結構話してみたが、案外こいつとは喋れるかもな.....


――――


 そして翌日、


 「ズッキー、ちょっといい?」

 「椎名か、どうした?」


 朝から椎名に呼ばれて、話を聞いていると、


 「私さ、助っ人部に入ろうと思うんだ!確かズッキーも助っ人部なんでしょ?」

 「まあな」


 ほぼ無理矢理だけどね!!


 「ってなわけで、休み時間に入部届出してくるね!!」

 「お、おう...」


 どうして椎名は、助っ人部に入ろうと思ったのだろうか、俺にはわからない。


 ――――


 「ってなわけで、よろしく!!」

 「え、ええ...よろしく」


 椎名の勢いある姿にさすがの園咲も、少し困っている様子だ。


 「これで、部員は3人ね」

 「そうだな。まあ、困っている人の手助けをする部活なら人数多い方がいいだろうしな。これから部活でもよろしくな、椎名」

 「うん!よろしくね、ズッキー!!」


 「ところで、園咲さんは何て呼べばいいかな?」

 「え、普通に園咲でいいけど」


 「じゃあ、蒼って呼ぶね!!」

 「ええ、じゃあ私は椎名さんと呼ばせてもらうわ」


 どうやら、それぞれの呼び方が決まったようだ。考えてみると、俺だけヅッキーか...まあ、園咲はさすがに普通に呼ぶだろうが...


 「ところで、依頼が無い時は何するの?」


 椎名が園咲に聞くが、これは多分俺と同じ回答になりそうだな...


 「依頼が無い時は何もしないけど、いつ来てもいいように、部活が終わるまでは居る事ね」

 「ふむふむ、わかった!じゃあいつでもスタンバイオッケー!って事だね!!」


 なんか俺の時と言い方変わってないですか?園咲さんよ。絶対変わってるよね?え、何これ嫌がらせ?嫌がらせなの...........??


 まあ俺はそんな事気にするような人間じゃ無いからな!!.....多分。


 「とりあえず、助っ人部の部員は俺たち3人って事になるのか」

 「いやー、でも始めはズッキーと蒼以外の人がいたら、どうしようって思ってたけど、この三人なら大丈夫だね!」


 「何で俺たち以外の人がいたらダメなんだ?」

 「それは...その.....」


 ああ、大体わかった。椎名は他の知らないヤツがいるとやりずらいってことか。まあ、俺も似たようなもんだけどな。


 「まあ、そういうことだよズッキー!」

 「お、おう...」


 何か適当だな、おい。


 「まあ、とにかくこのメンバーで助っ人部の活動をすることになるから、よろしくね!秋月君、椎名さん」

 「おう!」

 「よろー!」


 このメンバーで活動していくのか...まあ悪くは無いな。


 「あ、そうだ!ねぇねぇ蒼!」

 「な、何?」

 「助っ人部結成!って事で、今度の土曜日に助っ人部の部員達で、どこかに出かけない?」


 え、何でそうなるの...。椎名ならまだしも、園咲も一緒とか流石にやりずらいんだが.....


 「」ギロッ


 「っ...」ビクッ


 えっと、何でそんなに睨まれるの...俺?


 「..........っ」ギロッ


 ちょっと待って、普通に怖い!普通に怖いよ、園咲さん!!ってか、さっきより目が鬼になってるんだが.....マジで怖いからやめてくれ..........

 とりあえず謝るか。そうだな、それがいい!......多分だけど。


 「.......すんません」

 「ふん....」


 やっぱり不機嫌そうだな...


 「えっと...蒼?」

 「ああ、ごめんなさい椎名さん!」


 うわぁ...この人急に態度変えやがったよ..........


 「...何が文句でも?」ギロッ

 「いえ、何でもありません、はい...」


 こ、怖っっ!!やっぱこいつ怖すぎだ。まじでこいつエスパーじゃないの?


 「とりあえず分かったわ。今度の土曜日に皆で出かけましょうか。もちろん秋月君もくるよね~?」ニコッ


 うっ、顔はニコッとしてるけど、裏でやばい事考えてそうだなこりゃ...やっぱ園咲怖いわ......


 「それじゃ...」スッ


 園咲が手を出し始めた...これは?


 「...あ、わかった!そういうことね!」

 「えっと椎名、これは?」


 えっと、マジでなんなの...?


 「いいからズッキーもやるの!!」グイッ

 「え、ちょっと...」


 俺が椎名に手を引っ張られ、俺の手がついた先には、園咲と椎名と俺の手が並んでいた。


 それは、まるで今から何かを始める...いや、始まるかのように...


 「それじゃあ、誰が言う?」

 「うーん、やっぱり部長の蒼が言った方がいいと思うよ!」

 「そうだな、俺もそう思うぜ園咲。いや、むしろお前じゃないとだめだな...」


 「そ、そう?なら私が言うわねっ!」


 そして、俺たちは――


 「それじゃあ...」


 「始動!助っ人部!!」


 「「おーっ!!」」


 少しだけ恥ずかしかったが、俺たち三人は右手を上げて声を上げた。

 ......そう、ここから――


 ――俺たちの”助っ人部”が始まるんだ――

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る