第64話 藤 峰子だ。

「ねぇ! いつまで寝ている気!!」

 不意に枕元から声が聴こえた。

「ン…?」

 肩を揺さぶられた。

「早く起きなよ!!」

 藤 峰子の声だ。


「ゥ…、ンゥ……?」

 久しぶりによく寝たので気分爽快だ。

 高嶺 雅が失踪し、有り金全部、騙し盗られてから寝れない日々を過ごしていた。


 彼女の香水なのだろう。

 蠱惑こわく的な甘い匂いが漂ってきた。



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