第42話 ナンパしなさい

 これまで、一度として憧れの眼差しを向けられた事はなかった。


 女子からは、まるで蛇蠍だかつを見るような目で避けられてきた。


 それが、今夜はうっとりとした目でボクをながめていた。



 藤峰子の案内で派手なイルミネーションに飾られたビルに入り、エレベーターに乗った。

 ほどなく地下にある怪しげなクラブ『エデン』へ入った。


 これまでは怖いので、こういうクラブには一度も入った事がない。


 ドアを開けた途端、耳をつんざくような大音量の音楽が流れてきた。ヒップホップなのか。洋楽だ。聴いた事はあるが、タイトルは知らない。

 

「ここで、ナンパしなさい!!」

 藤峰子はボクに耳打ちをした。


「え? ナンパ……!!」

 ボクが驚いた。








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