第22話 ママの彼氏

旅行の手配は全部リツくんがしてくれた。

さすが敏腕コンサル

旅のプロデュースなんて、お手のものだ。


ディズニーワールドはとにかく広い。

そして、子供達は元気だ。

上の子と下の子で年齢差があるので

乗れるアトラクションが違ってくる。

そうすると、二手に分かれるしかない。

ちびっこチームは不自然なほど

リツくんになついている…。

「リツ兄ちゃんと行く!」

やっぱり。

さくらはちびっこに付いていくので

上の子と僕で回ることになった。

ちびっこチームどう見ても仲の良い家族だ。

これも計算づくなのか?


夕方にはマジックキングダムに集まり

みんなで夕食をとることになっていた。

「パパ~!」

ずっと離れていたちびっこチームは

さすがに寂しくなったのか

会うなり抱っこをせがんだ。

ちょっと気持ちが回復する。

食事を済ませ、テラスで少し休憩していると

さすがの子供達もウトウトしはじめた。


突然、ショーが始まり、花火が上がった。

「わぁ、すごい!」歓声があがる。

少し離れているので見えづらい。

しかし、子供達はもう寝てしまっていた。

「行こう!」


リツくんがさくらの手を引いて行ってしまった。


とても自然に。


半寝のナナが目を擦りながら尋ねる。

「リツ兄ちゃんって、ママの彼氏なの?」

「ナナ!」

どこでそんなこと覚えてくるんだ。

「違うよ!彼氏じゃない!

ママはパパの奥さんでしょ!」

ナナはもう寝ている。

そうだ、解っている。

リツくんはさくらが好きだ。

さくらも受け入れている。

さくらは必ず受け入れるのだ。

どんな時も。


いつものことだ。


なんか、ミゾオチの辺りがキリキリ痛む…。

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